
出典:https://www.astonmartin.com/
アストンマーティンが誇る初の二輪車「AMB 001」と「AMB 001 Pro」。高級スポーツカーメーカーが挑んだサーキット専用バイクは、伝説のバイクメーカー、ブラフ・シューペリアとのコラボレーションにより実現しました。180馬力から225馬力へと進化を遂げたパワフルなエンジン、F1マシン並みのパワーウェイトレシオ、そして航空宇宙産業レベルの最新技術の数々。アストンマーティンバイクが持つ真の価値に迫ります。
この記事を読むと分かること
- アストンマーティン初の二輪車AMB 001シリーズの実力と性能
- 180馬力から225馬力へと進化したエンジン技術の詳細
- 約1300万円の価格が持つ意味と投資価値
- 限定生産による希少性とコレクターズアイテムとしての将来性
なぜアストンマーティンは二輪車市場に参入したのか。その答えは、妥協のない性能追求と革新的なエンジニアリングの中に隠されています。
アストンマーティンバイクAMB 001が実現した究極の性能

image: bikerbikest.com
アストンマーティン初の二輪車AMB 001は、サーキット専用モデルとして開発され、妥協のない性能を追求しました。その革新的な技術の数々をご紹介します。
- 伝説のブラフ・シューペリアとの共同開発
- 180馬力V型2気筒ターボの実力
- F1マシン並みのパワーウェイトレシオ
- カーボンとチタンが織りなす最新技術
- 独自のフロントサスペンション構造
- サーキット専用モデルの真価
伝説のブラフシューペリアとの共同開発
アストンマーティンの二輪車市場への参入は、英国の伝統あるバイクメーカー、ブラフ・シューペリアとのコラボレーションから始まりました。
ブラフ・シューペリアは1919年に設立され、「オートバイのロールスロイス」と称された名門メーカーです。映画「アラビアのロレンス」の主人公も愛用したことで知られる伝説のブランドが、アストンマーティンのパートナーとして選ばれたのです。
2013年に二輪デザイナーのティエリー・ヘンリエット氏によって復活を遂げたブラフ・シューペリアは、現代の技術を駆使しながら伝統のDNAを継承。フランス・トゥールーズの工場で、熟練の職人によるハンドメイド生産を行っています。
このコラボレーションにより、アストンマーティンの最先端技術とブラフ・シューペリアの伝統的なクラフトマンシップが見事に融合。両社の強みを活かした唯一無二のバイクが誕生することとなりました。

180馬力V型2気筒ターボの実力
AMB 001の心臓部には、極めて特殊な997ccのV型2気筒ガソリンターボエンジンが搭載されています。180馬力という圧倒的なパワーは、同排気量のバイクとしては類を見ない性能です。

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注目すべきは、可変ジオメトリーターボを採用していること。インタークーラーと組み合わせることで、ターボラグを最小限に抑えながら驚異的なパワーを実現しています。また、エキゾーストマニホールドには「インコネル」と呼ばれる超合金を使用し、高温に耐える信頼性も確保しました。
トランスミッションには6速ミッションを採用し、ドゥカティが純正採用するAPTCクラッチと組み合わせることで、スムーズな駆動力の伝達を実現。サーキットでのハードな走行にも余裕で対応できる設計となっています。
このエンジンの維持には細心の注意が必要で、サーキット走行時は10時間ごとのバルブクリアランス点検、20時間ごとのピストンとヘッドガスケットの交換が推奨されています。これは、最高のパフォーマンスを引き出すための必要な管理といえるでしょう。
F1マシン並みのパワーウェイトレシオ
AMB 001の乾燥重量はわずか180kg。カーボンファイバー、チタン、削り出しアルミなどの贅沢な素材を惜しみなく使用することで実現した、驚異的な軽量化です。
この軽量な車体に180馬力のパワーが組み合わさることで、F1マシンに匹敵する1.28hp/kgという圧倒的なパワーウェイトレシオを実現。さらに進化したAMB 001 Proでは、最高出力225馬力まで引き上げられ、サーキットでの走行性能は一層向上しています。
このパワーウェイトレシオは、純粋なサーキット走行に特化した設計思想の集大成といえます。一般公道を走れない制約は、逆に言えば妥協のない性能追求を可能にした証でもあるのです。
エンジンは車体のストレスメンバーとして機能し、剛性確保にも貢献。アストンマーティンのスポーツカーで培った技術が、二輪車でも存分に活かされています。

カーボンとチタンが織りなす最新技術
AMB 001の車体には、航空宇宙産業でも使用される最先端の素材が贅沢に投入されています。特筆すべきは、フランスのエンジニアリング企業Mecano IDが手掛けた高度なカーボンファイバー技術の採用です。
ボディワークは実質的に2つのパーツのみで構成され、フロントカウルから続く一体成型のカーボンファイバーは、美しさと機能性を兼ね備えています。塗装部分でも炭素繊維の織り目が透けて見える仕上げは、素材そのものの魅力を引き出しています。
また、9ミクロンの極薄ステンレスからレーザーカットされたエンブレムは、人の髪の毛よりも30%も薄い精緻な造形を実現。ラッカー仕上げが施され、細部にまでこだわり抜かれた証となっています。
サドルには高級なオックスフォードタンレザーを採用し、ハンドルバーのグリップとの統一感も図られています。すべての部品が最高級素材で作られ、一切の妥協を許さない品質追求の姿勢が貫かれているのです。
独自のフロントサスペンション構造
AMB 001は、フランスの技術者クロード・フィヨール氏が開発したFure(フュール)型と呼ばれる、革新的なフロントサスペンションを採用しています。この設計は、BMWのK1200Rなど、後の多くのバイクに影響を与えた画期的な機構です。
従来のテレスコピックフォークとは異なり、ダブルウィッシュボーン式を採用することで、優れた剛性と操縦安定性を実現。サーキットでのハードな走行時でも、正確なフロントエンドのコントロールを可能にしています。
特徴的なのは、フロントサスペンションの動きが直接視認できる構造です。ライダーの目の前で、サスペンションが上下する様子を確認できるため、走行中の挙動を直感的に把握することができます。
このサスペンション構造により、コーナリング時の接地感が向上し、ライダーは安心してマシンをコントロールすることが可能になりました。まさにレース用マシンに相応しい、高度な足回りを実現しているのです。
サーキット専用モデルの真価
AMB 001がサーキット専用モデルとして設計された理由は、究極の性能を追求するためでした。公道走行車両に求められる各種規制に縛られることなく、純粋なパフォーマンスマシンとして開発できたのです。
フロントカウルにはヘッドライトの代わりにエアロダイナミクスを追求したデザインを採用。リアには雨天時のサーキット走行を想定したLEDレインライトを装備するなど、レースマシンとしての機能性が徹底されています。
特筆すべきは、スマートフォンと連携したデジタルメーターの採用です。専用アプリでギアポジションやエンジン回転数、速度などを表示し、最新のテクノロジーによる走行データ管理を可能としています。
サーキット走行に特化した設計により、メンテナンスインターバルは非常に短く設定されています。しかし、これはむしろ極限の性能を引き出すための必要条件といえ、オーナーの情熱に応える証となっているのです。

アストンマーティンバイクが誇る価値と魅力

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AMB 001シリーズの価値は、単なる性能だけではありません。限定生産による希少性や、投資価値としての側面にも注目が集まっています。
- AMB 001の1300万円の価値
- 進化したAMB 001 Proの実力
- ハンドメイドによる限定生産の意義
- 中古市場での評価と投資価値
- コレクターズアイテムとしての将来性
- 世界が認めたデザインと革新性
- 総括:アストンマーティンバイクが切り拓く新たな領域
AMB 001の1300万円の価値
AMB 001の価格は10万8000ユーロ(約1300万円)という、二輪車としては異例の高額に設定されています。しかし、この価格にはアストンマーティンとブラフ・シューペリア、両社の技術とブランド価値が凝縮されているのです。
すべてのパーツが最高級素材で造られ、フランス・トゥールーズの工場で熟練の職人によってハンドメイドで製作されます。一台の完成までに約2年もの時間をかけ、限定100台という希少性の高さも、その価値を裏付けています。
価格の根拠となるのは、F1マシンに匹敵する性能、航空宇宙産業レベルの素材、革新的な設計、そして両社の歴史が織りなす芸術的な価値です。これは単なる移動手段ではなく、最高峰のエンジニアリングとデザインの結晶なのです。
さらに、アストンマーティン初の二輪車という歴史的な意義も、この価格に反映されています。将来的な価値の上昇も期待でき、コレクターズアイテムとしての投資価値も秘めているといえるでしょう。
進化したAMB 001 Proの実力
AMB 001の成功を受けて開発されたAMB 001 Proは、さらなる高みを目指して進化を遂げました。最大の特徴は、180馬力から225馬力へと25%もパワーアップされたエンジン性能です。
エアロダイナミクス性能も大幅に強化され、フロントスポイラーとサイドウィングによってダウンフォースを増加。フロントカウルが車体と一体化され、サーキットでの高速走行時の安定性が格段に向上しています。
カラーリングには、アストンマーティンの伝統的なレーシングカラー「ヴェルダントジェイド」をメインに採用。アクセントカラーの「フォトンライム」との組み合わせは、レーシングの栄光の歴史への敬意を表現しています。
AMB 001 Proは88台限定で、その希少性はさらに高められました。新設計のフロントカウルやエアロスタビライザーなど、随所に施された進化は、サーキット性能を極限まで高めることに成功しています。

ハンドメイドによる限定生産の意義
AMB 001の生産は、フランス・トゥールーズにあるブラフ・シューペリアの工場で、すべて熟練の職人によるハンドメイドで行われています。一台の完成までに約2年という長い時間をかけ、細部にまでこだわり抜かれた製作が行われているのです。
特筆すべきは、各バイクに付与されるシリアルナンバーの存在です。AMB 001は100台、AMB 001 Proは88台という限定生産で、それぞれのバイクが世界に一台だけの個体として記録されています。
エンジンやフレームなどの主要パーツは、すべてCNC加工による削り出しで製作。大量生産では実現できない精度と品質を追求し、一台一台に職人の誇りと魂が込められています。
このハンドメイドによる限定生産は、単なる希少価値の創出だけでなく、最高峰の品質を実現するための必然的な選択なのです。大量生産では決して実現できない、究極の完成度を目指しているといえるでしょう。
中古市場での評価と投資価値
AMB 001は、その圧倒的な希少性と完成度の高さから、将来的な価値上昇が期待される投資対象としても注目を集めています。すでに中古市場では、新車価格を上回る取引事例も報告されています。
特に重要なのは、アストンマーティン初の二輪車という歴史的な価値です。同社の記念碑的なモデルとして、コレクターズアイテムとしての評価は今後さらに高まることが予想されます。
また、AMB 001 Proはさらに生産台数が少なく、その希少性は一層際立っています。エンジン性能や空力性能が向上し、より完成度の高いモデルとして、投資価値も高く評価されています。
維持費は決して安価ではありませんが、それも含めて希少価値を保つ要素となっています。サーキット専用という特性上、実走行距離の少ない個体が多く、コンディションの良い状態で価値が保たれやすいという特徴もあります。

コレクターズアイテムとしての将来性
AMB 001およびAMB 001 Proがコレクターズアイテムとして高い評価を得ている理由は、複数の価値が重なり合っているからです。まず第一に、アストンマーティンという世界的高級ブランドの初の二輪車という歴史的意義があります。
第二に、ブラフ・シューペリアという伝説的バイクメーカーとのコラボレーションという希少な組み合わせ。この両社の技術とDNAが融合した唯一無二の存在であることが、収集価値を高めています。
第三に、限定生産モデルとしての希少性です。AMB 001は100台、AMB 001 Proは88台という極めて少ない生産台数は、将来的な価値の上昇を期待させる重要な要素となっています。
さらに、サーキット専用モデルという特性上、一般的なバイクと比べて使用頻度が限定的であり、コンディションの良い状態で保存されやすいという利点もあります。このような複数の要因が、長期的な価値の維持・上昇を支える基盤となっているのです。
世界が認めたデザインと革新性
AMB 001のデザインは、アストンマーティンのスポーツカーから受け継いだDNAと、最新の空力技術を融合させた革新的なものです。流麗なボディラインは単なる美しさだけでなく、サーキットでの高速走行を支える機能性も兼ね備えています。
特筆すべきは、カーボンファイバーフィンのデザインです。タンク全長に渡って設置され、サドルの下を通って後方へと伸びるこの意匠は、アストンマーティン車のサイドストレークをモチーフにしたものです。
AMB 001 Proではさらに進化を遂げ、フロントスポイラーやサイドウィング、エアブレードなど、空力性能を高めるパーツが随所に配置されました。これらは機能美の極致といえる、美しいデザインに仕上げられています。
このデザインと革新性は、世界中のモーターサイクルショーで高い評価を受け、バイク史に新たな1ページを刻むことになりました。アストンマーティンの美学とエンジニアリングの融合が、二輪の世界でも見事に実現されたのです。
総括:アストンマーティンバイクが切り拓く新たな領域

- アストンマーティン初の二輪車AMB 001は、ブラフ・シューペリアとの共同開発により実現
- 997ccのV型2気筒ターボエンジンで180馬力を実現し、AMB 001 Proでは225馬力まで向上
- F1マシン並みの1.28hp/kgというパワーウェイトレシオを達成
- カーボンファイバーやチタンなど最高級素材をふんだんに使用
- 革新的なFure型フロントサスペンションを採用し、高い運動性能を実現
- サーキット専用設計により、妥協のない性能追求が可能に
- 約1300万円という価格は、技術力とブランド価値の結晶
- AMB 001は100台、AMB 001 Proは88台の限定生産で希少価値が高い
- すべてハンドメイドで製作され、一台の完成に約2年を要する
- 投資価値とコレクターズアイテムとしての将来性を併せ持つ
- アストンマーティンのデザインDNAを継承しつつ、革新的な機能美を実現
- 航空宇宙産業レベルの最新技術を投入し、極限の性能を追求
- メンテナンスは頻繁に必要だが、それも含めて究極のマシンである証
- 二輪車の新たな価値基準を確立した歴史的モデル
最後に
アストンマーティンとブラフ・シューペリアが創り上げたAMB 001シリーズは、単なるバイクの枠を超えた芸術品であり、最高峰のエンジニアリングの結晶です。価格や維持費は極めて高額ですが、それに見合う圧倒的な性能と希少価値を有しています。サーキット専用という制約は、逆に究極の性能を追求することを可能にし、二輪車の新たな可能性を切り拓いたといえるでしょう。
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