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「クルーザーであるエリミネーターを、本当にカフェレーサーになんてできるの?」そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。一見、相反するスタイルに思えるこの組み合わせ。しかし、その常識を覆すほどの魅力が、エリミネーターには秘められています。
実は、エリミネーターが持つクルーザーならではの低く長い骨格こそが、他のどんなバイクも敵わない、唯一無二のカフェレーサースタイルを生み出す最高の素体なのです。
この記事を読むと分かること
- エリミネーターがカスタムベースとして最適な理由
- カフェレーサー化に必要なパーツとカスタム手法
- ライバル車種との比較から見えるエリミネーターの魅力
- 参考にしたいクールなカスタム実例
なぜ、エリミネーターがこれほどまでにカスタムビルダーを惹きつけるのか。この記事を読めば、その理由が明確になり、あなただけの一台を創り上げるための具体的な道筋が見えてくるでしょう。
エリミネーターが至高のカフェレーサー素体である「たった1つの理由」

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クルーザーとして登場したカワサキ・エリミネーター。一見すると、伝統的なカフェレーサーとは対極に位置するように思えるかもしれません。しかし、なぜ今、多くのカスタムビルダーやバイク好きがこのマシンをカフェレーサースタイルのベースとして熱い視線を送るのでしょうか。ここでは、エリミネーターがカスタム素体として最適である『たった1つの理由』、その核心に迫ります。
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結論:クルーザーの骨格が生む唯一無二のシルエット
なぜ、エリミネーターはカフェレーサーの素体に最適なのか。様々な理由が挙げられますが、突き詰めるとその答えはただ一つです。それは、エリミネーターが持つ「クルーザーならではの低い骨格」そのものにあります。
低いエンジン搭載位置、地面を掴むかのような低いシート、そして伸びやかなホイールベース。これらクルーザーとして設計された要素が、セパレートハンドルやシングルシートといったカフェレーサーの記号と融合した時、伝統的なスポーツバイクベースのカスタムとは一線を画す、独特のシルエットを生み出すのです。
それは、いわば「異端」のスタイルかもしれません。しかし、そのアンバランスさが生み出す緊張感と、低く構えた攻撃的なフォルムは、他車の追随を許さない唯一無二の魅力を放ちます。エリミネーターをカフェレーサーに仕立てることは、単なるスタイル変更ではなく、このバイクが秘めた本質的な美しさを引き出す行為だと言えるでしょう。
「低く、長く」構える異端のフォルム

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エリミネーターのカフェレーサーカスタムがなぜこれほどまでに魅力的なのか、その秘密は具体的な数値に隠されています。例えば、2023年に登場した新型エリミネーターのスペックを見てみましょう。シート高は735mmと足つき性に優れるだけでなく、カスタムの観点からはマシンの重心を低く見せる上で非常に効果的です。
さらに注目すべきは、1,520mmというクルーザーならではのロングホイールベースです。この「低く、長い」車体に、低いハンドルと後退したステップを組み合わせることで、地面を這うような、それでいて前傾姿勢の攻撃的なライディングフォームが完成します。
カワサキのW800 CAFEのような伝統的なカフェレーサーが持つ、凝縮された塊感のあるスタイルとは対極の、伸びやかで流麗なフォルム。これこそ、エリミネーターという素材でしか表現できない、異端にして美しいカフェレーサースタイルなのです。

マシンの水平基調がもたらす一体感
優れたカフェレーサーカスタムに共通する美学の一つに、「タンクからシートカウルへ流れる水平なライン」があります。このラインが綺麗に通っていると、マシン全体に一体感が生まれ、カスタムの完成度が飛躍的に高まります。
実は、エリミネーターのフレームワークは、この水平ラインを演出しやすいという大きなメリットを持っています。特に、燃料タンクの下を通り、シート下へと続くフレームのラインが比較的ストレートな構成になっています。
これにより、シートやシートカウルをカスタムした際に、後付け感が少なく、まるでメーカーが最初からこのスタイルのために設計したかのような自然な繋がりを生み出すことができます。派手な加工をせずとも、パーツの選択と配置だけで美しいシルエットが手に入る。この素性の良さも、エリミネーターがカスタムベースとして愛される理由の一つです。
カフェスタイルに必須のパーツと適合情報
エリミネーターをカフェレーサーへと変貌させる上で、核となるカスタムパーツがいくつか存在します。幸いなことに、特に新型エリミネーター(EL400A)に関しては、国内の主要パーツメーカーから様々なアイテムがリリースされ始めています。
まず、スタイルの要となるハンドル。定番のセパレートハンドル(セパハン)や、比較的取り付けが容易なコンドルハンドル、スワローハンドルが人気です。デイトナやハリケーンといったブランドから、適合を謳う製品も登場しています。
- セパレートハンドル:最もカフェレーサーらしいスタイルを実現
- コンドルハンドル:純正クランプを流用でき取り付けが比較的簡単
- スワローハンドル:クラシカルな雰囲気を演出
次に、ライディングポジションを決めるバックステップ。現状では専用品のラインナップはまだ少ないですが、SNSなどでは他車種用を加工して取り付けている猛者も見受けられます。そして、カフェスタイルの象徴であるシングルシート。汎用のシートカウルを加工して取り付けるのが主流ですが、こちらも今後の専用パーツ登場に期待が高まります。その他、バーエンドミラーやショートフェンダーキットなども、スタイルを大きく変える人気パーツです。
ライバル「レブル」とのカスタム素養比較

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カフェレーサーカスタムのベース車両として、しばしば比較対象となるのがホンダの「レブル」です。パーツの豊富さや人気ではレブルに軍配が上がる面もありますが、カスタムの「素養」という点で見ると、エリミネーターには独自の魅力があります。
最大の違いはフレーム形状です。レブルが独創的なダイヤモンドフレームを採用しているのに対し、エリミネーターはオーソドックスなダブルクレードル風のフレームを持っています。この伝統的なフレーム構成が、クラシカルなカフェレーサースタイルと非常に相性が良いのです。
また、エンジンの「見せ方」も異なります。エリミネーターのNinja由来の並列2気筒エンジンは、フレーム内で適度な存在感を放ち、メカニカルな美しさを演出します。カスタムとは、いわばバイクの素顔を引き出す作業。その点で、エリミネーターはよりオーソドックスで、多くの人が思い描く「バイクらしさ」に溢れたカフェレーサーを創り上げるのに適した素材と言えるかもしれません。

新型と旧型、それぞれのカスタムの魅力
「エリミネーター」と一括りに言っても、その歴史は長く、様々なモデルが存在します。現行の新型エリミネーター(400/SE)が注目を集めていますが、中古市場で根強い人気を誇る旧型モデルにも、カスタムベースとしての魅力が満載です。
新型の魅力は、何と言っても最新の走行性能と、これから増えていくであろう豊富なカスタムパーツにあります。信頼性も高く、現代の交通事情で安心して走りを楽しめるカフェレーサーを作りたいなら、新型が最適でしょう。
一方で、例えばエリミネーター250VのようなVツインエンジンを搭載した旧型モデル。このモデルでしか味わえない独特の鼓動感と、よりスリムでクラシカルな車体は、また違った雰囲気のカフェレーサーを生み出します。パーツ探しや流用には手間がかかるかもしれませんが、その過程すら楽しめるのが旧車カスタムの醍醐味。どちらのモデルを選ぶかによって、カスタムの方向性も楽しみ方も大きく広がります。
エリミネーターで理想のカフェレーサーを創るための実践ガイド

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エリミネーターが持つ唯一無二の可能性をご理解いただけたでしょうか。ここからは、いよいよそのポテンシャルを解放し、あなただけの一台を創り上げるための具体的なステップへと進みます。ハンドル、ステップ、シートといった主要なポイントから、全体の完成度を高める細部に至るまで、理想のカフェレーサーを具現化するための実践的なガイドです。
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ハンドル交換で決まる第一印象
カフェレーサーカスタムの第一歩は、ハンドル交換から始まると言っても過言ではありません。マシンのシルエットとライディングポジションを劇的に変化させ、第一印象を決定づける重要なパートです。
最もカフェレーサーらしいスタイルを求めるなら、やはりセパレートハンドル(セパハン)が筆頭候補です。低い構えの戦闘的なスタイルは、多くのライダーの憧れでしょう。新型エリミネーターのフロントフォーク径はφ41mmなので、適合するサイズのセパハンを選ぶ必要があります。ただし、タンクとの干渉や、スイッチボックスの回り止め用穴あけ加工など、取り付けにはある程度の知識と技術が必要です。
もう少し手軽に雰囲気を変えたい場合は、一体型のスワローハンドルやコンドルハンドルもおすすめです。純正のハンドルクランプをそのまま使える場合が多く、比較的簡単に交換できます。まずはここから始めて、理想のポジションを探っていくのも良いでしょう。
ポジションの要、バックステップの選び方
低いハンドルに合わせてライディングポジションを最適化するために不可欠なのが、ステップ位置を後方に移動させるバックステップです。これにより、適度な前傾姿勢が生まれ、マシンとの一体感が高まります。
現状、新型エリミネーター専用のバックステップキットはまだ市場に多く出回っていません。しかし、カスタムの世界では「無ければ創る」のが醍醐味。エンジンを共有するNinja 400/250系のパーツを流用したり、ステッププレートを自作したりと、創意工夫で理想のポジションを追求するビルダーも現れ始めています。
ポジションが後退することで、コーナリング時に体を動かしやすくなるなど、スポーティな走りにも貢献します。見た目の変化だけでなく、走り味も大きく変わるのがバックステップカスタムの面白いところ。今後のパーツメーカーの動向にも注目していきたい分野です。

スタイルの心臓部、シートカスタムの選択肢

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マシンのリアビューを引き締め、カフェレーサースタイルを決定づける心臓部がシートです。エリミネーターのシートカスタムには、大きく分けて3つの選択肢があります。
一つ目は、汎用のシングルシートやシートカウルを加工して取り付ける方法。FRP製の製品が多く、自分の好きな形に削ったり、塗装したりと自由度が高いのが魅力です。二つ目は、純正シートのウレタンを削る「アンコ抜き」や、表皮をタックロールなどに張り替える方法。比較的低コストで、足つき性とデザインを両立できます。
そして三つ目は、シートベースからFRPなどで自作するワンオフ製作。最も難易度とコストはかかりますが、エリミネーターの水平なフレームラインに完璧に合わせた、世界に一つだけのシートを創り上げることが可能です。どの方法を選ぶかで、マシンの個性は大きく変わってきます。
五感を刺激するマフラーカスタムの世界
見た目の変化はもちろん、ライダーの五感を最も刺激するのがマフラーカスタムです。歯切れの良いサウンドは、走りの高揚感を何倍にもしてくれます。
カフェレーサースタイルに似合うのは、クラシカルなキャブトンマフラーや、レーシーなメガホンマフラー、そしてシンプルで無骨なショート管などです。エリミネーター用としては、まだ選択肢は限られますが、スリップオンタイプを中心に徐々にラインナップが増えつつあります。フルエキゾーストタイプに交換すれば、性能アップも期待できます。
ここで非常に重要なのが、車検への対応です。公道で安心して楽しむためには、JMCA認証プレート付きの製品を選ぶのが鉄則です。認証されていないマフラーは、騒音規制や排出ガス規制に適合しない可能性が高く、整備不良とみなされることがあります。法規を守ってこそ、真のカスタムと言えるでしょう。

完成度を高める灯火類・メーター周り
全体のスタイルが固まったら、次はディテールに目を向けましょう。灯火類やメーターといった細部をカスタムすることで、マシンの完成度は劇的に向上します。
例えば、ヘッドライトを小ぶりなベーツライトに、テールランプをクラシカルなルーカスタイプに変更するだけで、ぐっとヴィンテージ感が増します。ウインカーも、小型のLEDタイプや、ハンドル周りをスッキリさせるバーエンドタイプなどが人気です。
新型エリミネーターの多機能な純正デジタルメーターも優秀ですが、もし究極のシンプルさを求めるなら、社外の小型デジタルメーターや、クラシックなアナログ単眼メーターへの換装も視野に入ります。配線処理など難易度は上がりますが、その分、理想のコックピットが完成した時の満足感は格別です。
インスピレーションを刺激するカスタム実例集

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百聞は一見に如かず。最後に、あなたのカスタム魂に火をつける、クールなエリミネーター・カフェレーサーの実例をいくつか見てみましょう。
X(旧Twitter)やInstagramで「#エリミネーターカスタム」などのハッシュタグを検索すると、オーナー達の情熱が詰まったマシンが数多く見つかります。セパハンとシングルシートで王道のブリティッシュカフェスタイルを構築した一台、純正のスタイルを活かしつつローダウンとマフラーでモダンに仕上げたネオカフェスタイル、マット塗装と細部のブラックアウトで精悍さを際立たせた一台など、その表現は様々です。
これらの実例は、パーツ選びや配色のヒントに溢れています。多くの作例に触れることで、ぼんやりとしていたあなたの理想の姿が、より鮮明なイメージとして固まっていくはずです。ぜひ、あなただけの「答え」を見つける旅を楽しんでください。

総括:エリミネーターは異端で至高のカフェレーサーだ
ここまでエリミネーターをカフェレーサーにカスタムする魅力と、その具体的な方法について解説してきました。

- エリミネーターのカフェレーサーカスタムの核は、クルーザーならではの低い骨格にある
- 低く長い車体が、他のバイクにはない唯一無二のシルエットを生み出す
- 伝統的なダブルクレードル風のフレームは、クラシカルなカフェスタイルと相性が良い
- マシンの水平基調なフレームラインが、タンクからシートへの美しい一体感をもたらす
- カスタムの第一歩は、セパハンやコンドルハンドルへの交換から始まる
- 新型エリミネーターのフロントフォーク径はφ41mmで、セパハン選びの基準となる
- ポジションの要であるバックステップは、現状では他車種流用やワンオフが主流
- シートカスタムは汎用カウルの加工、アンコ抜き、ワンオフ製作が主な選択肢である
- マフラーはJMCA認証品を選び、法規を守って楽しむことが重要だ
- 灯火類やメーターなどの細部をカスタムすると、全体の完成度が飛躍的に向上する
- ライバルのレブルと比較して、エリミネーターはより伝統的なカフェスタイルを構築しやすい
- 新型は最新の性能とパーツの将来性、旧型はVツインなどのエンジンと希少性に魅力がある
- XやInstagramで「#エリミネーターカスタム」と検索すると、多くの実例が見つかる
- カスタムとは、バイクが持つ本来の美しさを引き出す作業である
- エリミネーターは、異端でありながら至高のカフェレーサーカスタムベースとなりうる
最後に
今回は、エリミネーターがなぜカフェレーサーのカスタムベースとして最適なのか、その『たった1つの理由』と、具体的なカスタム方法について詳しく解説しました。
クルーザーという出自を持つからこその「低く長い」スタイルが、唯一無二の個性を生むことをご理解いただけたのではないでしょうか。この記事が、あなたの理想の一台を創り上げるための、最初の一歩となれば幸いです。
もし、エリミネーターというバイク自体にもっと興味が湧いたなら、カワサキの名車たちを紹介した記事もおすすめです。また、カスタムの世界に足を踏み入れたい方には、初心者向けのカスタム入門記事もご用意しています。