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最近よく耳にするホンダのGB350ですが、同時に「遅い」という評判も聞こえてきて、購入を迷っている方も多いのではないでしょうか。
果たしてその評価は本当なのか、高速道路での走りはどうなのか、気になっていることでしょう。
今回は、そんなGB350の「遅い」という評価の真相を、スペックや実際のオーナーの声から徹底的に深掘りしてみました。結論から言うと、GB350の魅力は、スペックシートの数字には表れない「心地よさ」にありました。
この記事を読むと分かること
- GB350が「遅い」と言われる客観的な理由
- 高速道路や最高速などリアルな走行性能
- スペックの数字を超えた5つの本質的な魅力
- 購入後に後悔しないためのGB350の楽しみ方
この記事を読めば、GB350の本当の実力と、他のバイクにはない唯一無二の価値について理解できるはずです。
GB350が「遅い」と言われるのは本当?スペックから見る真実

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GB350の購入を考えるとき、多くの人が気にするのが「遅い」という評判です。果たしてその評価は本当なのでしょうか。
ここでは、高速道路での実力やスペックを客観的に検証し、その評価の真実に迫ります。ネガティブな情報も含めて知ることが、後悔しないバイク選びの第一歩です。
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高速道路は苦手?100km/h巡航と追い越し性能
まず、多くの方が最も気にする高速道路での走行性能についてです。
結論から言うと、GB350で時速100km/h巡航は十分に可能です。5速ギアでの100km/h走行時のエンジン回転数は約4,000rpm前後。これはエンジンにとって決して無理のある回転数ではなく、安定して走り続けることができます。
ただし、「快適か?」と問われると、少し話は変わってきます。100km/h巡航は可能ですが、そこから追い越しをかけるための加速力には、正直なところあまり余裕がありません。
走行車線をゆったりと走り、景色の変化を楽しむような走り方には最適ですが、追い越し車線へ頻繁に出て前走車をリードするような走り方は苦手なバイクと言えるでしょう。特に、強い向かい風や緩やかな登り坂では、100km/hを維持するためにアクセルを大きく開ける必要が出てくる場面もあります。
高速道路を多用し、常に流れをリードしたいライダーにとっては、少しストレスを感じるかもしれません。高速道路は「移動手段」として割り切り、無理な追い越しはせず、左側車線を堂々と走る。そんな大人の走りがGB350には似合っています。
最高速は120km/hが限界?実際の加速性能
高速道路での性能に関連して、最高速と加速性能についても見てみましょう。
多くのメディアやオーナーのレビューを見ると、GB350の最高速はメーター読みで120km/h〜130km/hあたりが一つの壁になるようです。もちろん、条件が良ければもう少し伸びる可能性はありますが、そこから先は時間がかかる、というのが共通した見解です。
これは、GB350が決してスピードを追求して作られたバイクではないことを明確に示しています。0-100km/h加速のような、いわゆる「速さ」の指標で他のバイクと比べると、見劣りしてしまうのは事実です。
しかし、それはGB350の価値を測る上での正しい物差しではないのです。このバイクの真価は、ゼロからのスタートダッシュではなく、街中での信号待ちからの発進や、時速40〜60km/hといった常用域での扱いやすさにあります。
アクセルを開けた瞬間に、力強いトルクが車体を前に押し出す感覚。その心地よさを重視した結果の性能なのです。

20馬力は非力?控えめなパワーに込められた思想

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GB350の最高出力は20馬力(15kW)です。同じ400ccクラスのバイク、例えば250ccのレブル250(26馬力)よりも数値上は低いと聞くと、「本当に大丈夫?」と不安に思うかもしれません。
確かに、この数値は現代のバイクとしては非常に控えめです。しかし、ホンダはパワー不足のバイクを作ってしまったわけではありません。
むしろ、日常で最もよく使う回転域で、いかにライダーが心地よいと感じるかを突き詰めた結果、あえてピークパワーを抑えているのです。GB350の開発思想は、スペックシートの数字を追いかけることではなく、ライダーが実際に走行した際の「フィーリング」や「味わい」を最大化することにありました。
高回転までエンジンを回してパワーを絞り出すのではなく、わずか3,000回転で最大トルク(エンジンの粘り強さ)を発生させるセッティング。これが、アクセルを少し開けるだけでトコトコと前に進む、GB350ならではの乗り味を生み出しているのです。
馬力という一つの指標だけでバイクの価値を判断するのは、あまりにも早計だと言えるでしょう。
ロングストロークエンジン特有の回転フィールとは
GB350の「遅いけれど、心地よい」という評価の核心には、ロングストローク設計のエンジンがあります。
エンジンのスペックで「ボア×ストローク」という項目を見たことがあるでしょうか。GB350は70.0mm × 90.5mmと、ストローク(ピストンが上下する距離)の方が長い、典型的なロングストロークエンジンです。
これを分かりやすく言うと、ピストンが一度の爆発で長い距離をゆっくりと上下するということです。この「ゆっくりとした動き」が、ライダーに伝わる「ドッドッドッ」という力強く、かつ角の取れた丸みのある鼓動感を生み出します。
まるで心臓の拍動のような、生命感あふれるフィーリングです。逆に、高回転までシャープに吹け上がるショートストロークのエンジンとは対極のキャラクター。
せわしなくエンジンを回すのではなく、一回一回の爆発を味わいながら、地面を蹴り出す感覚を楽しむ。これがロングストロークエンジンの醍醐味であり、GB350が多くのライダーを虜にする理由なのです。
ヤマハSR400とのスペック比較で分かる立ち位置
クラシックな単気筒バイクとして、しばしば比較対象となるのがヤマハのSR400(生産終了モデル)です。GB350のキャラクターを理解するために、SR400とスペックを比べてみましょう。
項目 | Honda GB350 | Yamaha SR400 |
---|---|---|
最高出力 | 20PS / 5,500rpm | 24PS / 6,500rpm |
最大トルク | 29N・m / 3,000rpm | 28N・m / 3,000rpm |
車両重量 | 180kg | 175kg |
こうして見ると、最高出力ではSR400に軍配が上がります。しかし、注目すべきは最大トルクです。トルクの数値自体はほぼ同じですが、GB350はSR400よりも遥かに低い3,000回転で最大トルクを発生させています。
これは、GB350がいかに低回転域での力強さ、つまり実用域での扱いやすさを重視しているかの証拠です。SR400がキックスタートの儀式や、より野性的な乗り味を持つ一方で、GB350は現代的な信頼性と、誰にでも扱いやすいフレンドリーさを兼ね備えています。
スペックを比較することで、GB350が目指した独自の立ち位置がより明確になります。
オーナーが語る「パワー不足」を感じる具体的な場面
ここまでGB350の魅力を語ってきましたが、最後に、実際のオーナーがどのような場面で「パワー不足」や「遅さ」を感じるのか、具体的な声を紹介します。
こうしたネガティブな情報も知っておくことが、購入後のミスマッチを防ぐためには非常に重要です。
- 長い登坂路で、ギアを下げないと速度が維持できない時
- 高速道路で、前走車を追い越そうとアクセルを開けても、なかなか前に出られない時
- 強い向かい風の中を走っている時
- タンデム(二人乗り)でバイパスなどを走る時
大切なのは、これらの場面が自分のバイクライフにおいて、どれくらいの頻度で訪れるかを想像してみることです。
もし、あなたがバイクに絶対的な速さや余裕を求めるのであれば、GB350は最適な選択ではないかもしれません。しかし、そうでなければ、これらの点は大きな欠点にはならないでしょう。

なぜ「gb350 遅い」のに人気?スペックを超えた5つの魅力

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スペックだけ見ると「遅い」と感じるGB350。しかし、その人気は衰えることを知りません。むしろ、多くのライダーを熱狂させています。
ここでは、スペックシートの数字だけでは決して分からない、GB350がライダーを魅了する本質的な5つの魅力と、後悔しない楽しみ方を解説します。
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魅力①:低速トルクが生む心地よい鼓動感
GB350の魅力を語る上で、絶対に外せないのがエンジンがもたらす「心地よい鼓動感」です。
まるでバイクと対話しているかのような一体感をライダーにもたらし、乗るたびに愛着を深めてくれます。アクセルを少し開ければ、低い回転数から力強いトルクが湧き上がり、車体をグッと前に押し出してくれる。
この地面をしっかりと蹴り出す感覚は、高回転型のエンジンでは決して味わえません。速さを追求したバイクの主役が「スピード」だとしたら、GB350は間違いなくエンジンが主役のバイクです。
エンジンの息づかいを感じながら、一回一回の爆発を味わって走る。この感覚こそが、スペックの数字を超えて多くのライダーを魅了する、GB350最大の魅力と言えるでしょう。
魅力②:街乗りや下道が最高に楽しい速度域

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高速道路では少し分が悪いGB350ですが、そのステージを街中や郊外の一般道に移した途端、その評価は一変します。ストップ&ゴーの多い市街地や、カーブが連続するワインディングロードは、まさにGB350の独壇場です。
低回転からトルクフルなエンジンのおかげで、発進や再加速が非常にスムーズ。せわしなくギアチェンジをする必要がなく、ズボラな運転でもギクシャクしません。
特に、時速40kmから60kmの速度域でトコトコと流して走る時の気持ちよさは格別。日本の道路環境に、これほどマッチしたバイクも珍しいかもしれません。
かかとでシフトダウンできるシーソー式のチェンジペダルも、このゆったりとした走りに貢献しています。靴の甲を汚すことなく、優雅にシフト操作を楽しむ。そんな何気ない日常のライディングが、GB350と一緒なら特別な時間に変わるのです。

魅力③:急かされない走りから生まれる心の余裕
GB350に乗ると、不思議と心が穏やかになります。それは、このバイクが持つ「急かされない」キャラクターのおかげです。
パワフルなバイクに乗ると、ライダーは無意識のうちに「速く走らなければ」というプレッシャーを感じてしまうことがあります。しかし、GB350にはそれがありません。むしろ、「ゆっくり走ろう」「景色を楽しもう」という気持ちにさせてくれるのです。
アクセルを大きく開ける機会が少ない分、ライダーの視野は広がり、今まで気づかなかった道端の花や、空を流れる雲の形に目が向くようになります。風の匂いや季節の変化を、より深く感じることができるでしょう。
移動という「タスク」が、旅という「体験」に変わる瞬間です。スピードと引き換えに手に入れる、この精神的なゆとりこそ、忙しい日常を送る現代人にとって、何物にも代えがたい価値を持つのではないでしょうか。
魅力④:お財布に優しい圧倒的な燃費性能

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バイクの魅力はフィーリングだけではありません。長く付き合っていく相棒として、経済性は非常に重要な要素です。その点、GB350は他のバイクを圧倒する大きなメリットを持っています。
それが、驚異的な燃費性能です。カタログスペック(WMTCモード値)では、なんとリッター41.0kmという数値を記録しています。実際の走行でも、乗り方によってはリッター40kmを超えるというオーナーの声も少なくありません。
ガソリンタンクの容量は15Lなので、単純計算では一度の給油で600km以上も走れてしまう計算になります。これは、東京から岡山あたりまで無給油で走り切れてしまうほどの距離です。
ガソリン価格が高騰している昨今、この燃費の良さは本当にありがたい。ランニングコストを気にすることなく、気軽にツーリングに出かけられる。この安心感は、バイクライフをより豊かにしてくれる確かな魅力です。
魅力⑤:速さよりも「味わい」を求める価値観
これまで挙げてきた魅力をまとめると、GB350を選ぶということは、バイクに対する価値観の転換を意味します。それは、「速さ」や「効率」という物差しから、「味わい」や「心地よさ」という物差しへ乗り換えることです。
それはまるで、全自動のコーヒーメーカーから、ハンドドリップで丁寧にコーヒーを淹れることに喜びを見出すのに似ています。時間はかかるかもしれません。しかし、そのプロセスの中にこそ、豊かな時間が流れています。
GB350との付き合い方も、まさにそれと同じです。エンジンの鼓動を感じ、季節の移ろいを肌で感じながら、自分のペースで走る。
デジタル化が進み、あらゆるものがスピードを求める現代社会において、あえてアナログでゆっくりとした時間を楽しむ。GB350は、ただの移動手段ではなく、人生を豊かにするための「相棒」として、他にはない価値を提供してくれるのです。
「買って後悔」の前に知るべきGB350の楽しみ方
最後に、GB350の購入で後悔しないために、最も大切なことをお伝えします。それは、「このバイクに自分が何を求めているのか」を明確にすることです。
GB350は、ライダーを選ぶバイクと言えるかもしれません。
- もしあなたが、高速道路をメインに長距離を快適に、そしてスピーディーに駆け抜けたいのであれば、GB350はベストな選択ではないかもしれません
- 一方で、あなたが、エンジンの鼓動を感じながら郊外の道をのんびりと走り、バイクに乗る時間そのものを楽しみたいのであれば、これほど素晴らしい相棒はいないでしょう
この記事を読んで「自分には後者の方が合っているかも」と感じたなら、ぜひ一度試乗してみることを強くお勧めします。
スペックシートだけでは伝わらない、あの心地よい鼓動感とフィーリングに触れた時、きっとあなたの不安は確信に変わるはずです。

総括:GB350の遅いという評価は味わい深さの裏返し
今回の記事では、GB350の「遅い」という評判について、その理由と本当の魅力に迫りました。スペックの数字だけでは見えない、このバイクの真価について理解していただけたでしょうか。

- GB350での時速100km巡航は可能だが、追い越し加速に大きな余裕はない
- 最高速度は120km/h前後が目安であり、速さを追求するバイクではない
- 最高出力20馬力というスペックは、意図的にパワーを抑えた結果である
- 日常で使う回転域での心地よさを最優先した開発思想を持つ
- エンジンは低い回転数から力強いトルクを発生させる特性
- ピストンの上下動が長いロングストローク設計が独特の鼓動感を生む
- ライバルだったSR400より馬力は低いが、より低回転で最大トルクを発揮する
- パワー不足を感じやすいのは、長い登り坂や高速道路での追い越し時
- スペックでは測れない魅力の核心は、エンジンが奏でる心地よい鼓動感
- このバイクが最も輝くステージは、街乗りや郊外の一般道である
- かかとでシフト操作できるシーソー式ペダルも、ゆったりした走りに貢献
- ライダーを急かさない特性が、スピードとは別の心の余裕をもたらす
- バイクに乗る時間が「移動」から「体験」へと変わる
- WMTCモード値でリッター41.0kmという燃費は大きな経済的メリット
- 一度の給油で600km以上走れる計算になり、長距離ツーリングも安心
- GB350を選ぶことは「速さ」から「味わい」へと価値観を移すこと
- 購入で後悔しないためには、自分のバイクスタイルを明確にすることが大切
- のんびりと景色や走りそのものを楽しみたいライダーには最高の相棒となる
- 最終的な判断は、試乗してフィーリングが自分に合うか確かめるべき
最後に
今回は、ホンダGB350が「遅い」と言われる理由と、その評価の裏にある本当の魅力について詳しく解説しました。
スペック上の速さではなく、バイクと過ごす時間そのものを豊かにしてくれるのが、GB350の真価だとご理解いただけたのではないでしょうか。大切なのは、ご自身のバイクライフにGB350の持つ「心地よいペース」が合うかどうかです。
この記事が、あなたの後悔しないバイク選びの一助となれば幸いです。
GB350について興味を持たれた方は、より詳しい魅力と欠点を解説した記事も参考になるでしょう。オーナー目線での実体験に基づく情報をお届けしています。
また、ツーリングを楽しむ際の装備選びについても、併せてチェックしてみてください。GB350のようなゆったりとしたバイクには、荷物の準備もまた特別な楽しみの一つになります。