
image: bikerbikest.com
ヤマハのNMAX、MAXシリーズ譲りのスポーティで精悍なデザインが、たまらなく格好いいですよね。街で見かけるたびに、心が惹かれる方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ購入を具体的に考えると、「乗り心地が硬いらしい」「シート下の収納が小さいって本当?」といったネガティブな評判が耳に入り、「NMAXを選んで本当に後悔しないだろうか…」と、一歩踏み出せずにいるかもしれません。
結論を先に言えば、NMAXは日常の快適性や実用性を少しだけ妥協する代わりに、スクーターの常識を覆すほどの「操る楽しさ」と「所有感」を手に入れられるバイクです。大切なのは、そのトレードオフを理解し、ご自身の価値観に合っているかを見極めることです。
この記事では、NMAXの購入で後悔しないために知っておくべき全てを、徹底的に解説します。
この記事を読むと分かること
- NMAXで後悔しがちな3つの具体的な欠点
- 絶対的ライバルPCXとの実用性・走行性能の比較
- すべての欠点を上回るNMAXならではの揺るぎない価値
- あなたが本当に選ぶべき一台はどちらなのかという最終結論
巷の評判に惑わされず、あなたにとって最高の相棒を見つけるための一助となれば幸いです。ぜひ最後までお付き合いください。
多くの人がNMAXで後悔する3つの欠点

image: bikerbikest.com
NMAXの購入を考えたとき、誰もが気になるのが「買ってから後悔しないか?」という点。ここでは、多くのオーナーが実際に感じている、NMAXならではの妥協点、つまり「欠点」について深く掘り下げていきます。これらを理解することが、後悔しないバイク選びの第一歩です。
見出しクリックで記事に飛べます
欠点①:硬い乗り心地とシートの痛み

image: bikerbikest.com
NMAXで最も多くの声が挙がる後悔ポイント、それが「乗り心地」です。特に、ライバルであるPCXのしなやかな乗り心地を知っていると、その硬さが際立って感じられるかもしれません。
NMAXのサスペンションは、路面の凹凸を正直に拾いすぎる傾向があります。マンホールやアスファルトの亀裂などを通過するたびに、ゴツゴツとした突き上げ感がライダーに伝わってきます。一部のオーナーからは「腰にくる」「長距離は走りたくない」といった厳しい意見も聞かれます。しかし、この硬さこそが、NMAXのスポーティなハンドリングを生み出す源泉であることも事実。ヤマハは意図的にこのダイレクト感あるセッティングを選んでいるのです。
さらに、乗り心地に追い打ちをかけるのがシートの問題。「40kmも走るとお尻が痛くなる」という声は決して大げさではなく、多くのオーナーが経験しています。シート自体のクッション性は悪くないのですが、長時間同じ姿勢でいると特定の場所に圧力が集中しやすいようです。快適性を最優先するライダーにとって、これは大きなマイナスポイントと言えるでしょう。

欠点②:PCXに及ばない収納と実用性

image: bikerbikest.com
スクーターの生命線とも言えるのが、シート下の収納スペース。この点において、NMAXはPCXに対して明確なハンデを負っています。
具体的な数値で見ると、PCXのシート下容量が30Lであるのに対し、NMAXは23L。この7Lの差は想像以上に大きく、日常の使い勝手に直結します。NMAXもフルフェイスヘルメット1個は収納可能ですが、ヘルメットの形状や向きによってはギリギリで、インカムが付いているとまず収まりません。ヘルメットを入れたら、残りのスペースは雨具や小物を少し入れられる程度です。
フロントの収納も同様です。現行モデルでは左右にポケットが付きましたが、電源ソケットがある左側のポケットには蓋がありません。雨の日にスマートフォンを充電しようものなら、びしょ濡れになるリスクがあります。対するPCXは蓋付きのコンパートメント内にUSB Type-Cポートを備えており、このあたりの配慮はさすがと言わざるを得ません。毎日の通勤や買い物で使うことを考えると、この収納力と実用性の差は、後悔につながる大きな要因となります。
欠点③:日常で感じる細かな不便さ
乗り心地や収納力以外にも、オーナーが日常的に感じる細かな不便さがいくつか報告されています。一つ一つは些細なことかもしれませんが、積み重なると「やっぱりPCXにしておけば…」という後悔につながりかねません。
例えば、ヘッドライト。特にハイビームは照射範囲がスポット的で「使い物にならない」と酷評されています。夜間の峠道など、本当に視界が必要な場面で頼りにならないのは安全上の懸念点です。また、センタースタンドが重く、サイドスタンドも角度が立ち気味で不安定になりやすいという指摘もあります。非力な方や傾斜地での駐車が多い方には、地味にストレスとなる部分です。
スマートキーの受信範囲が狭く、キーをジャケットのポケットなど、ハンドルに近い場所に入れておく必要がある点も不便さを感じるポイント。これらの点は、ヤマハが「MAXシリーズ」としての流麗なデザインやスポーツ性を優先した結果、実用性が少し犠牲になった部分と言えるかもしれません。

これらの欠点はカスタムで解消できる?
これまで挙げてきたNMAXの欠点ですが、幸いなことに、その多くはカスタムパーツによって改善することが可能です。「後悔」を「満足」に変えるための代表的な方法をいくつか紹介しましょう。
最も効果的なのが、乗り心地を改善するためのサスペンション交換です。純正の硬いリアサスペンションを、高品質な社外品に交換するだけで、路面からの突き上げが劇的にマイルドになります。これはNMAXを快適に乗るための「必須カスタム」と考えるオーナーも少なくありません。費用はかかりますが、満足度は非常に高いです。同様に、シートの痛さもゲルザブ(ジェルシート)の導入や、社外品のコンフォートシートへの交換で大幅に軽減できます。
収納力の問題は、リアキャリアを取り付けてトップケースを装着するのが最も現実的な解決策です。デザインの好みは分かれますが、利便性は飛躍的に向上し、PCXをもしのぐ積載量を確保できます。このように、いくつかのポイントに手を入れることで、NMAXはより快適で実用的なマシンに生まれ変わらせることができるのです。
燃費性能はPCXと比較してどう?
バイクを日常の足として使う上で、燃費性能は無視できない要素です。この点において、ホンダのeSP+エンジンを搭載するPCXは驚異的な数値を叩き出し、実燃費でリッター50kmを超えることも珍しくありません。
一方、ヤマハのBLUE COREエンジンを搭載するNMAXの燃費は、オーナーの報告を見ると、おおむねリッター40km~46kmの範囲に収まることが多いようです。もちろん、走り方や環境によって変動はありますが、数値だけを見ればPCXに軍配が上がるのは明らかです。毎日長距離を通勤で使うようなユーザーにとっては、この燃費の差が年間のガソリン代に響いてくる可能性があります。
しかし、NMAXの燃費性能が悪いというわけでは決してありません。125cc/155ccクラスのスクーターとしては十分に経済的ですし、後述するスポーティな走行性能を考慮すれば、むしろ優秀とさえ言えるかもしれません。燃費のわずかな差を気にするか、それとも走りの楽しさを取るか。ここにも、NMAXとPCXのキャラクターの違いが表れています。

振動やエンジン音はうるさいって本当?
静粛性や快適性を重視するPCXと比較して、NMAXのエンジンはやや「ワイルド」な味付けがされています。アイドリング時にはハンドル周りに細かな振動が伝わってきますし、エンジン音もPCXよりは大きめで、ゴロゴロとした少し粗削りなサウンドが特徴です。
この振動と音を「不快なノイズ」と捉えるか、「バイクらしい鼓動」として心地よく感じるかは、完全に個人の好みが分かれるところでしょう。静かでスムーズ、まるでモーターのように回るPCXのエンジンを「上質」と感じる人もいれば、「物足りない」と感じる人もいます。逆に、NMAXの適度な振動と歯切れの良いエンジン音を「操っている感覚が楽しい」「気分が盛り上がる」と評価するオーナーは少なくありません。
もしあなたが、バイクに対して単なる移動の道具以上の、機械的な味わいや生命感を求めるタイプであれば、NMAXのエンジンフィールは後悔どころか、大きな魅力に感じられる可能性が高いです。こればかりはスペック表では分からない感覚的な部分なので、ぜひ一度試乗して、ご自身で確かめてみることをお勧めします。
それでもNMAXを選んで後悔しない価値

image: bikerbikest.com
NMAXが抱えるいくつかの欠点について解説してきましたが、それらを理解した上で、なお多くのライダーを魅了してやまないのがNMAXというバイクです。ここからは、ネガティブな要素を補って余りある、NMAXだけが持つ「揺るぎない価値」に迫ります。
見出しクリックで記事に飛べます
価値①:病みつきになるVVAエンジンの加速感

image: bikerbikest.com
NMAXの心臓部であるBLUE COREエンジンには、ヤマハ独自のVVA(可変バルブ機構)が搭載されています。これが、NMAXのキャラクターを決定づける最大の魅力と言っても過言ではありません。
街中を走るような低回転域では燃費と扱いやすさを重視した穏やかな特性ですが、アクセルを開け、エンジン回転数が約6,000回転に達するとVVAが作動。その瞬間、NMAXは豹変します。まるで二段階ロケットのように、もう一段階力強い加速が始まるのです。この高回転域でのパワーの盛り上がりと伸びやかさは、PCXのスムーズな加速とは一線を画す、官能的なフィーリング。流れの速い幹線道路での合流や、いざという時の追い越し加速で絶大な安心感と余裕をもたらしてくれます。
この「ただ速い」だけではない、ドラマチックな加速感こそ、多くのNMAXオーナーが「これがあるからNMAXはやめられない」と語る理由です。単なる移動手段ではなく、走りそのものを楽しみたいライダーにとって、これ以上ないご褒美と言えるでしょう。

価値②:スクーターの常識を超える操る楽しさ

image: bikerbikest.com
前半で「硬い乗り心地」という欠点を指摘しましたが、それはこの「操る楽しさ」と表裏一体の関係にあります。NMAXは一般的なスクーターが採用するアンダーボーンフレームではなく、モーターサイクルに近い剛性の高いバックボーンフレームを採用しています。
この強固な車体と、少し硬めにセッティングされたサスペンションの組み合わせが、スクーターとは思えないほどのダイレクトなハンドリングを実現しています。ライダーが「曲がりたい」と思った通りに、スッと素直に車体が向きを変え、狙ったラインを正確にトレースしていく感覚は、まさにスポーツバイクそのもの。ただコーナーを通過するのではなく、「コーナーを攻略する」という楽しみを味わうことができます。
快適性ではPCXに劣るかもしれませんが、「バイクを自分の意のままに操る喜び」という点においては、NMAXが圧倒的に勝っています。通勤路のいつもの交差点ですら、少しだけ心が躍る。そんな日常をNMAXは提供してくれます。
価値③:高い剛性が生む圧倒的な安定性
NMAXの高い車体剛性がもたらす恩恵は、スポーティなハンドリングだけではありません。高速道路やバイパスなど、速度域が上がるシーンでの圧倒的な安定性も大きな魅力です。
車体がしっかりしているため、速度を上げてもフラフラするような挙動が少なく、どっしりとした安心感があります。路面のうねりや橋の継ぎ目などを通過する際も車体の収まりが良く、ライダーは不安を感じることなく運転に集中できます。また、トラックに追い越された際の横風などにも強く、車体が煽られにくいのも大きなメリットです。
この盤石の安定感は、長距離を走った際の疲労軽減にも大きく貢献します。常に緊張を強いられるバイクと、リラックスして乗れるバイクとでは、目的地に着いた時の疲れ方が全く違います。NMAXは、スポーティでありながら、ライダーを疲れさせない懐の深さも持ち合わせているのです。

タンデム(二人乗り)も得意な懐の深さ
NMAXの隠れた美点として、タンデム性能の高さが挙げられます。一人でスポーティに走るだけでなく、大切な人を後ろに乗せて走るシーンでも、その素性の良さは光ります。
高い車体剛性のおかげで、パッセンジャーが乗っても車体の挙動が乱れにくく、非常に安定した走行が可能です。PCXではタンデム時に少しフロントが軽くなるような感覚がありますが、NMAXは一人で乗っている時に近い安定感を保ちます。プリロード調整機能付きのリアサスペンション(現行モデル)も、タンデム時の乗り心地向上に貢献しています。
グラブバーも握りやすく、シートの段差も適切で、後ろに乗る人も安心して体を預けることができます。パートナーや友人と二人でツーリングに出かける機会が多いライダーにとって、このタンデム性能の高さは、バイク選びにおける非常に重要な決め手となるでしょう。
前後ABS標準装備という安全性能
走りの楽しさやスポーティさに注目が集まりがちなNMAXですが、安全装備に対する意識が非常に高いモデルであることも忘れてはなりません。
NMAXは前後輪に作動する2チャンネルABSを標準装備しています。急ブレーキ時に後輪がロックするリスクも回避してくれるため、特に雨の日のマンホールや白線の上など、滑りやすい路面でのブレーキングにおいて、大きな安心感をもたらします。
ABSは普段その恩恵を感じることは少ないですが、万が一のパニックブレーキの際に、ライダーを転倒の危機から救ってくれる「命綱」とも言える装備です。どんなに楽しいバイクでも、安全でなければ意味がありません。NMAXは、ライダーが安心して走りを楽しめるよう、安全性の面でも妥協をしていないのです。これは価格差以上の価値があると言えるでしょう。

【結論】あなたが選ぶべきはNMAXかPCXか
ここまでNMAXの後悔ポイントと、それを上回る価値について解説してきました。結局のところ、NMAXとPCX、どちらを選ぶべきなのでしょうか。その答えは、あなたがスクーターに何を最も求めるかによって決まります。
以下に、それぞれのバイクがどんな人におすすめかをまとめました。ご自身の使い方や価値観と照らし合わせてみてください。
- 【NMAXがおすすめな人】
- とにかく走りの楽しさ、操る喜びを最優先したい
- スポーティで精悍なデザインに強く惹かれる
- タンデム(二人乗り)で走る機会が多い
- 前後ABSなど、より高い安全性能を重視する
- 多少の乗り心地の硬さや収納の不便さは許容できる
- 【PCXがおすすめな人】
- 毎日の通勤・通学で使うため、快適な乗り心地を最優先したい
- ヘルメット+αの荷物を積むなど、収納力と実用性を重視する
- 少しでも燃費が良いバイクを求めている
- 静かでスムーズ、上質な乗り味を好む
- 走りの刺激よりも、気楽さを求める
どちらが優れているかではなく、どちらが「自分に合っているか」。その視点で選ぶことが、後悔しないバイク選びの鍵となります。
NMAXとPCXは125ccクラスにおける二大巨頭ですが、このクラスには他にも素晴らしいバイクが数多く存在します。以下の記事では、通勤・通学という視点から様々なモデルを徹底比較していますので、ぜひこちらも参考にして、後悔のない一台を選んでください。
総括:NMAXの後悔はスポーツ性を愛せるかで決まる。
この記事では、NMAXの購入で後悔しないためのポイントを多角的に解説してきました。

- NMAXで後悔するポイントは主に「乗り心地」「収納力」「実用性」の3つ
- サスペンションは硬めで、路面の凹凸をダイレクトに拾う傾向がある
- シートは長距離走行でお尻が痛くなるとの声が多数存在する
- シート下収納は23Lで、ライバルであるPCXの30Lより明確に小さい
- インカム付きのフルフェイスヘルメット収納は困難な場合が多い
- フロントポケットに蓋がなく、電源がシガーソケットである点も不便
- スタンドの使い勝手やヘッドライトの照射範囲など、細かな不満点も報告される
- これらの欠点の多くは、社外品パーツなどを用いたカスタムで改善が可能である
- NMAXの価値は、これらの欠点を補って余りあるスポーティな走行性能にある
- 独自の可変バルブ機構「VVA」は、高回転域で官能的な加速感を生み出す
- 高剛性のバックボーンフレームは、スクーターの常識を超える操る楽しさを提供する
- 高速走行時の安定性は非常に高く、ライダーに安心感を与える
- タンデム(二人乗り)でも挙動が安定しており、安心して走行できる
- 前後輪に作動する2チャンネルABSの標準装備は、大きな安全上のアドバンテージ
- 燃費はPCXに一歩譲るものの、走行性能を考えれば十分に経済的
- 振動やエンジン音は「ワイルド」な味付けで、バイクらしい鼓動を感じられる
- バイク選びは「快適性と実用性のPCX」か「走りの楽しさと趣味性のNMAX」かの選択
- 自分の価値観と使い方を明確にすることが、後悔しないための最も重要な鍵
最後に
今回は、ヤマハNMAXで後悔しないためのポイントを、具体的な欠点とそれを上回る価値の両面から徹底的に解説しました。
NMAXは万人受けする完璧なバイクではありません。しかし、そのスポーツ性能や操る楽しさは、他のスクーターでは決して味わえない唯一無二の魅力です。この記事が、あなたの価値観に合った後悔のない一台を選ぶための、確かな判断材料となれば幸いです。
もし、NMAXやPCX以外の選択肢も視野に入れてみたいと感じたなら、以下の記事もきっと参考になるはずです。