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「スクランブラー sixty2 生産終了」という情報を耳にして、「一体なぜ?」「今から中古で買うのはアリなのか?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。憧れのドゥカティに中免で乗れるとあって、デビュー当時は大きな注目を集めた一台でした。
私自身も一人のバイク好きとして、この個性的で魅力あふれるバイクが短命に終わってしまったことを、少し寂しく感じています。しかし、その背景を深く知るほど、そして現在の市場を見るほどに、「生産終了は決してネガティブな終わりではなく、むしろ今だからこそ狙うべき最高の選択肢だ」という確信が深まりました。
この記事では、そんなScrambler Sixty2の隠れた魅力と真実に迫ります。
この記事を読むと分かること
- Scrambler Sixty2が生産終了した本当の理由
- 今こそ中古のSixty2を狙うべき3つの魅力
- 後悔しないための中古車選びの具体的な注意点
- 兄貴分である800ccモデルとの明確な違い
なぜ生産が終了してしまったのか、そして生産終了した今、このバイクとどう向き合えばいいのか。この記事を読み終える頃には、あなたの疑問は確信に変わっているはずです。さあ、一緒にその答えを見つけにいきましょう。
スクランブラーSixty2の生産終了はなぜ?その真相に迫る

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ドゥカティのエントリーモデルとして注目を集めた「スクランブラーSixty2」。その個性的なスタイルに憧れた方も多いのではないでしょうか。しかし、いつの間にか新車のラインナップから姿を消してしまいました。ここでは、多くのライダーが気になっている生産終了の背景、その真相に迫ります。
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そもそもScrambler Sixty2とはどんなバイク?

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Scrambler Sixty2は、イタリアのバイクメーカー、ドゥカティが2016年に発売した、普通二輪免許で運転できる400ccクラスのバイクです。「Land of Joy」を掲げるスクランブラーファミリーの世界観を、より多くの人に届けるために生まれました。
そのコンセプトは「Pop Icon」。1962年に登場した初代スクランブラーに敬意を払いつつも、スケートボードやサーフィンといったストリートカルチャーの要素を取り入れた、自由で遊び心あふれるデザインが特徴です。エンジンは399ccの空冷L型2気筒を搭載。ドゥカティらしい鼓動感を持ちながらも、非常に扱いやすい出力特性に仕上げられています。
このバイクは、ドゥカティがバイク初心者やリターンライダー、そして女性ライダーといった新しい層に向けて本気で作り込んだ戦略的なモデルでした。単なる上位モデルの廉価版ではなく、「バイクライフの入口」として、楽しさを最大限に感じられるよう設計された、独自の魅力を持つ一台と言えるでしょう。
生産終了の最大の理由は排ガス規制「ユーロ5」
では、なぜScrambler Sixty2は生産終了となってしまったのでしょうか。様々な憶測が飛び交っていますが、最も大きな理由は欧州で導入された新しい排出ガス規制「ユーロ5」への対応が困難だったためと考えられます。
ユーロ5は、2021年から欧州で販売される新型車に義務付けられた、非常に厳しい環境規制です。この規制に対応させるためには、エンジンや排気システムに大幅な改良が必要となり、多額の開発コストがかかります。
メーカー側の視点に立つと、エントリーモデルであるSixty2にそのコストを投下するのは、販売価格とのバランスを考えても現実的ではなかったのでしょう。コストをかければ規制をクリアできたかもしれませんが、その分、車両価格が大幅に上昇してしまい、モデル本来の「手軽さ」という魅力が失われてしまいます。
これはヤマハの名車SR400など、多くの空冷エンジンを搭載したバイクが姿を消した理由と同じ、バイク業界全体の大きな流れの中での決断だったと言えます。

国産ライバル車と比較された価格とパワー
生産終了のもう一つの側面として、日本市場における国産ライバル車との比較が挙げられます。Scrambler Sixty2の発売当時の価格とスペックを見てみましょう。
モデル | 新車価格(当時) | 最高出力 |
---|---|---|
Scrambler Sixty2 | 約89.9万円 | 40ps |
ホンダ CB400SF(参考) | 約88万円台~ | 56ps |
このように、400ccクラスの王者ともいえるホンダのCB400SFなどと比較すると、「価格はほぼ同等でありながら、パワーは16馬力も低い」という事実がありました。スペックやコストパフォーマンスを重視するユーザー層から見ると、この差は決して小さくなく、「割高だ」と感じられたことは否めません。
もちろん、バイクの価値はスペックだけで決まるものではありません。ドゥカティというブランドが持つ所有感や、唯一無二のデザイン性といった、数字では測れない魅力がSixty2にはありました。しかし、価格と性能という分かりやすい指標で比較された場合、厳しい戦いを強いられたのもまた事実だったのです。
兄貴分800ccモデルとの微妙な立ち位置
Scrambler Sixty2の立ち位置を難しくしたもう一つの要因が、兄貴分である「Scrambler Icon(800cc)」の存在です。
当時、上位モデルであるScrambler Iconの新車価格は約105万円から。Sixty2との価格差は十数万円ほどでした。バイクの購入を検討する際、「あと少し予算を足せば、もっと排気量が大きくパワフルな上位モデルが手に入る」という状況は、多くのライダーにとって悩ましい問題です。
特に、ドゥカティのような趣味性の高いバイクを選ぶユーザーの中には、どうせ乗るならよりパワフルで満足度の高いモデルを、と考える人が少なくありません。結果として、中型免許で乗れるという明確なメリットがありながらも、一部の需要が800ccモデルに流れてしまった可能性は十分に考えられます。
Sixty2はエントリーモデルとしての役割を担っていましたが、同じスクランブラーファミリー内に強力なライバルがいたことも、その販売戦略を難しいものにした一因と言えるでしょう。

「不人気車」という評価は本当だったのか?
生産終了の理由を並べていくと、「結局、Scrambler Sixty2は不人気車だったのか?」という疑問が浮かびます。確かに、販売台数という点で見れば、爆発的なヒットモデルとは言えなかったかもしれません。
しかし、それは決してこのバイクが「失敗作」であったことを意味するものではありません。むしろ、時代を少し先取りしすぎた、意欲的なモデルだったと私は考えています。スペック至上主義が根強かった当時の市場において、Sixty2が提案した「ファッションやライフスタイルとして楽しむバイク」という価値観は、まだ完全には浸透していませんでした。
今でこそ、バイクの楽しみ方は多様化し、性能だけでなくデザインや雰囲気を重視するライダーが増えています。そうした現在の価値観から見れば、Sixty2はまさに「今の時代にこそふさわしいバイク」。販売台数だけでは測れない、「わかる人にはわかる」通好みの魅力を持った、隠れた名車だったのではないでしょうか。
オーナーによるインプレとリアルな評価
最後に、実際にScrambler Sixty2を所有していた、あるいは現在も所有しているオーナーたちの声を見てみましょう。Web上のレビューやSNSを調査すると、このバイクのリアルな姿が浮かび上がってきます。
- ポジティブな評価
「とにかくデザインがお洒落で所有欲が満たされる」「400ccで車体も軽く、街乗りでの扱いやすさは抜群」「トコトコ走るのが気持ちいいエンジン」「意外と燃費が良い」といった声が多く見られます。やはり、デザイン性と軽快な乗り味が高く評価されています。 - ネガティブな評価
一方で、「高速道路での追い越しは少しパワー不足を感じる」「長距離ツーリングだとお尻が痛くなりやすい」「積載性が皆無」といった意見も。特にパワーに関しては、国産の同クラスに乗り慣れた人ほど、物足りなさを感じる傾向があるようです。
これらの評価から、Scrambler Sixty2は、最高速やパワーを追い求めるのではなく、街中をお洒落に駆け抜けたり、景色の良い道をのんびり流したりするのが最も得意なバイクだということがわかります。自分のバイクライフに合うかどうか、購入前にこうしたリアルな声に耳を傾けることが重要ですね。

スクランブラーSixty2生産終了でも大丈夫!中古で狙うべき3つの理由

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生産終了の背景を知ると、少しネガティブな気持ちになるかもしれません。しかし、視点を変えれば、それは新たな魅力の始まりでもあります。ここでは、生産終了した「今だからこそ」Scrambler Sixty2が輝いて見える3つの理由と、中古車選びのポイントを詳しく解説します。
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理由① 唯一無二のデザインと希少性

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生産終了がもたらした最大の価値、それは「希少性」です。もう新車では二度と手に入らないという事実が、このバイクを特別な一台へと昇華させました。
Scrambler Sixty2が持つ、レトロとモダンが融合した普遍的なデザインは、時が経っても色褪せることがありません。むしろ、生産を終えたことでその価値はさらに高まったと言えるでしょう。生産期間が比較的短かったため、中古市場に流通しているタマ数も限られています。街中で同じバイクとすれ違う機会は少なく、オーナーには「自分だけの一台」という特別な所有感を与えてくれます。
ありふれたバイクでは満足できない、自分の個性を表現したいと考えるライダーにとって、このデザインと希少性は、何にも代えがたい魅力となるはずです。バイクを単なる移動手段としてではなく、ライフスタイルを彩る相棒として迎え入れたい方にこそ、強くおすすめしたい理由です。
理由② 中型免許で乗れるドゥカティという魅力
多くのライダーにとって、「ドゥカティ」は特別な響きを持つ憧れのブランドではないでしょうか。レースで培われた情熱的なバイク作りと、官能的なデザイン。その世界観に触れるためには、これまでは大型二輪免許が必須でした。
しかし、Scrambler Sixty2は、その常識を打ち破った画期的なモデルです。普通二輪免許さえあれば、誰でもドゥカティオーナーになることができる。これは、Sixty2が持つ最大の魅力と言っても過言ではありません。憧れのLツインエンジンの鼓動を、もっと身近に感じることができるのです。
さらに、400ccならではの軽量でコンパクトな車体は、街乗りでの扱いやすさも抜群。ストップ&ゴーの多い市街地でも気負うことなく、軽快なフットワークを楽しめます。憧れのブランドバッジだけでなく、初心者や女性でも安心して乗れるフレンドリーさを両立している点は、大きなアドバンテージです。

理由③ 意外と安定している中古車価格
「生産終了したバイクは、値崩れしやすいのでは?」と心配されるかもしれません。しかし、Scrambler Sixty2に関しては、その心配は今のところ無用と言えそうです。
そのユニークな立ち位置から根強いファンに支えられており、中古車市場では価格が比較的安定して推移しています。急激な値崩れが起きていないのは、それだけこのバイクに価値を見出し、探している人がいることの証左です。
これは裏を返せば、購入後に手放すことになった場合でも、ある程度のリセールバリューが期待できるということ。もちろん、バイクは趣味の乗り物ですが、購入のハードルを下げる現実的なメリットとして、この資産価値の高さは見逃せないポイントです。「中型免許で乗れるお洒落な輸入車」というジャンルで、Sixty2のライバルとなるバイクは非常に少ないため、今後もその価値は維持されやすいと考えられます。
現在の中古相場と狙い目の年式は?
では、実際に中古車を探すとなると、どのくらいの予算感を見ておけば良いのでしょうか。2025年7月現在の市場を見ると、Scrambler Sixty2の中古車価格はおおよそ70万円~90万円台で推移している状況です。
発売から年数が経っているにも関わらず、新車価格に迫る、あるいはそれを超える価格帯で取引されている個体も少なくありません。これは、先述した希少性と人気の高さを物語っています。
狙い目としては、走行距離が1万km未満の、2017年~2019年式のモデルです。この年式の車両は比較的大切に乗られてきたものが多く、状態の良い個体を見つけやすい傾向にあります。幸い、まだ市場には低走行の美しい車両が流通していますので、根気よく探せば、きっと満足のいく一台に出会えるはずです。
中古車選びで失敗しないための弱点とチェック項目
魅力的なScrambler Sixty2ですが、中古車で購入する際にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。特に以下の点は、実車を確認する際に念入りにチェックしましょう。
- メンテナンスノートの確認
正規ディーラーで定期的に点検を受けてきたかどうかが分かる最も重要な書類です。オイル交換の頻度など、前オーナーのバイクへの愛情を推し量る指標にもなります。 - エンジン周りのオイル漏れ・滲み
空冷エンジン、特に輸入車では珍しくないですが、あまりに酷い場合は注意が必要です。エンジン下部やシリンダーの継ぎ目などをチェックしましょう。 - 電装系の動作確認
ウインカー、ヘッドライト、メーター表示など、スイッチ類の動作を一通り確認します。特にABS警告灯が点きっぱなしになっていないかは重要です。 - サスペンションの状態
フロントフォークやリアショックからのオイル漏れがないか確認しましょう。乗り心地に直結する重要なパーツです。
もちろん、信頼できるバイクショップで購入するのが一番の安心材料です。保証付きの車両を選ぶなど、購入後のリスクを減らす工夫も大切ですね。

生産終了後の維持は?部品供給とカスタム事情

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「生産終了モデルは、壊れた時に部品がなくて困るのでは?」という不安もつきものです。しかし、Scrambler Sixty2に関しては、過度な心配は不要です。
まず、全国のドゥカティ正規ディーラーで、現在も問題なくメンテナンスや修理を受け付けています。また、エンジンオイルフィルターやブレーキパッドといった基本的な消耗品の多くは、兄貴分である800ccモデルと共通のものが使われています。そのため、部品の供給が突然途絶えるといったリスクは非常に低いと言えるでしょう。
カスタムパーツに関しても、スクランブラーシリーズは世界的に人気があるため、国内外のパーツメーカーから豊富なラインナップが提供されています。マフラーやシート、ハンドルなどを交換して、自分だけの一台に仕上げていく楽しみも存分に味わえます。維持のしやすさと発展性、どちらもまだまだ現役のバイクです。
Scrambler Icon(800cc)との違いを比較
Sixty2を検討する上で、必ず比較対象となるのが800ccモデルの「Scrambler Icon」です。どちらを選ぶべきか悩む方のために、主な違いをまとめてみました。
項目 | Scrambler Sixty2 (399cc) | Scrambler Icon (803cc) |
---|---|---|
免許区分 | 普通二輪免許 | 大型二輪免許 |
最高出力 | 40ps | 約73ps |
車両重量 | 183kg | 189kg |
フロントフォーク | 正立フォーク | 倒立フォーク |
スイングアーム | スチール製 | アルミ製 |
おすすめな人 | 街乗り中心、初心者、デザイン重視の方 | 高速走行やツーリングも楽しみたい方 |
最も大きな違いはやはりパワーです。高速道路を多用したツーリングがメインならIconに軍配が上がりますが、街中を軽快に走る楽しさではSixty2も負けていません。装備面でも違いはありますが、どちらが優れているというよりは、それぞれのキャラクターの違いと捉えるべきでしょう。自分の使い方に合った方を選ぶことが大切です。
気になる後継モデルは登場するのか?
最後に、多くの人が期待する「Scrambler Sixty2の直接的な後継モデル」についてです。結論から言うと、2025年7月現在、ドゥカティから400ccクラスの後継モデルに関する公式なアナウンスはありません。
世界的にバイクの排気量は中間層(600cc~900ccクラス)が主流となっており、メーカーとしても開発リソースをそちらに集中しているのが現状です。そのため、近い将来に400ccのスクランブラーが復活する可能性は、残念ながら低いと言わざるを得ません。
しかし、これは逆に言えば、現存するScrambler Sixty2の希少性と価値をさらに高める要因となります。「中免で乗れるドゥカティ スクランブラー」は、今、中古車市場で探すしかない、本当に特別な存在なのです。この事実が、あなたの決断を後押ししてくれるのではないでしょうか。

総括:スクランブラーSixty2の生産終了は、新たな価値の始まり
さて、ここまでScrambler Sixty2が生産終了した背景と、中古車としての魅力について掘り下げてきました。

- Scrambler Sixty2は普通二輪免許で乗れる399ccのドゥカティである
- 1962年の初代をオマージュしたポップで自由なデザインがコンセプトだ
- 2020年モデルを最後に生産を終了している
- 生産終了の最大の要因は排ガス規制「ユーロ5」への未対応とされる
- 国産の同クラスと比較して価格はほぼ同等だが、パワーは控えめだった
- 約15万円差の上位モデル、800ccのIconと競合した側面もある
- 決して不人気車ではなく、時代を先取りしたコンセプトを持っていた
- オーナーからの評価は、デザインと街中での扱いやすさで特に高い
- 一方で、高速道路などでのパワー不足を指摘する声もある
- 生産終了した現在、その希少価値は年々高まっている
- 中古車価格は70万円台から90万円台を中心に安定して推移している
- リセールバリューも期待でき、資産価値の観点からも魅力的だ
- 中古車選びではメンテナンス履歴の確認が最も重要である
- エンジン周りのオイル漏れや電装系のチェックも必須の項目だ
- ドゥカティ正規店で整備可能であり、部品供給に大きな不安はない
- カスタムパーツは国内外で豊富に流通しており、個性も出しやすい
- 800ccモデルはよりパワフルで、高速ツーリングを得意とする
- 直接的な後継モデルが登場する可能性は現在のところ低い
- 今、中古でしか手に入らないという事実が、このバイクを特別な存在にしている
最後に
今回は、生産終了となったドゥカティ スクランブラーSixty2について、その理由と中古車としての尽きない魅力に迫りました。
生産終了は決してネガティブな要素ではなく、むしろ唯一無二の希少価値と、ライフスタイルに寄り添う独特のポジションを確立するポジティブな要素であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
スペックだけでは測れない「乗る楽しさ」と「所有する喜び」が、このバイクには詰まっています。この記事が、あなたのバイク選びの参考になれば幸いです。
もしSixty2の購入を真剣に検討されているなら、中古バイク選びの基本的なポイントも併せて押さえておくことをおすすめします。以下の記事では、失敗しない中古車選びの普遍的なノウハウを詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
また、ドゥカティのような輸入車の維持費について気になる方は、バイクの維持費全般について解説した記事も役立つでしょう。Sixty2購入後のランニングコストをイメージする上で、きっと参考になるはずです。