W800の美しいクラシカルなデザインや、独特の鼓動感に憧れて、そろそろ本気で手に入れたいと考えている方も多いですよね。でも、いざ探し始めると、初期型や現行型といった年式の違いだけでなく、燃料ポンプのリコールや電気系・スロットルボディのトラブルに関する情報、さらには走行距離が伸びた際のO2センサーやスロットルボディの不調など、ちょっと気になる噂を目にすることもあるかもしれません。また、美しいスポークの錆が進行していると高額なホイール張り替えが必要になったり、ユーザー車検の際にタンデムベルトがないだけで不合格になるなんて話を聞くと、購入後の維持費が心配になってしまいますよね。ベベルギヤの異音トラブルや、10万キロを共にするためのリアルなコスト、そして頼りになる専門店を見つけることまで考えると、中古選びは慎重にならざるを得ません。ここでは、そんなあなたが安心して極上の一台に出会えるよう、リアルな実情を詳しくお話ししていきますよ。
この記事を読むと分かること
- W800特有の持病と購入前に確認すべき具体的なチェックポイントがわかる
- 年式による違いや不具合リスクを理解して賢く車両を選べるようになる
- 購入後の予期せぬ高額な修理費や車検時のトラブルを未然に防げる
- 一生の相棒として長く乗り続けるための現実的な維持のコツが身につく
中古車を買って後悔しないために本当に気をつけるべきことは何なのか、という疑問にお答えします。この記事を読めば、カタログには載らないリアルな弱点や維持の現実を完全に把握し、自信を持って最高の一台を選び抜くことができるようになりますよ。
W800の中古選びで注意すべき特有の持病と現実

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購入前に絶対に知っておきたい特有の弱点や、車両状態を見極めるための具体的なポイントについて詳しく解説していきますね。中古車選びで一番気になるところですよね。
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初期型に潜む2件のリコールと不調リスク

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憧れのバイクを目の前にすると、つい外見の美しさやメッキの輝きにばかり目を奪われてしまいますよね。気持ちはすごくよく分かります。でも、ちょっと待ってください。もしあなたが狙っているのが、2011年頃に発売された初期型(EJ800A)なら、絶対に、何よりも先に確認しておきたいのが「リコール対策の実施状況」ですよ。
この初期モデルには、時期の異なる2件のリコールが届け出されています。まず1件目は、2013年1月に届け出された燃料ポンプのリコール(届出番号3083)です。(出典:カワサキ公式 リコール情報 届出番号3083) 燃料ポンプ内部のベアリングの耐久性が不足しているため、ベアリングが磨耗して円滑に作動しなくなり、最悪の場合エンジンが停止して再始動できなくなるおそれがある、というものです。対象は車台番号 EJ800A-001092 ~ EJ800A-011196 の3,351台です。
そして2件目は、2015年12月に届け出された電気系・スロットルボディのリコール(届出番号3720)です。(出典:カワサキ公式 リコール情報 届出番号3720) このリコールには2つの不具合が含まれており、ひとつは電気配線がフレームの突起部と干渉してショートし走行中にエンジンが停止するおそれがあるもの、もうひとつはスロットルボディホルダーの耐熱性不足による亀裂で空気を過剰に吸入してエンジン不調に陥るおそれがあるものです。こちらの対象は車台番号 EJ800A-001092 ~ EJ800A-026781 の5,973台で、1件目の燃料ポンプリコール対象範囲を包含するより広い範囲になっています。いずれも、ツーリングで気持ちよく風を切っている最中に突然エンジンが沈黙するという、かなり怖い持病なんです。私も昔、別のバイクで山奥の圏外エリアにて突然エンジンが止まる絶望感を経験しました。あの冷や汗と心細さは、二度と味わいたくありませんよね。
リコール対策の確認方法
購入を検討している車両がリコール対象に入っているか、そして対策品に交換・修正済みかどうかを、販売店のスタッフに必ず確認しましょう。口頭だけでなく、整備記録簿で証明してもらうのが一番確実かなと思います。
もし記録簿がない場合でも、簡単なセルフチェックの目安があります。イグニッションキーをONにしたとき、タンクの下から「ウィーン……カチッ」という力強い作動音が聞こえるかどうか、耳を澄ませてみてください。この音が弱々しかったり、なんだか「ギーッ」というような異音が混ざっていたりする場合は、燃料ポンプが寿命を迎えているサインの可能性があります。メーカー保証がとっくに切れている中古車だからこそ、「買ったばかりなのに数万円の修理代が…」なんて悲劇を防ぐために、こうした見えない爆弾を抱えていないか、自分の目でしっかり確認することが大切ですよ。
走行距離とO2センサー劣化の落とし穴
中古のバイク選びで走行距離を気にするのは当然ですが、W800の場合、およそ「4万キロ」を超えたあたりから、このバイク特有の気難しさが出てくることがあります。それが「O2センサーの劣化」によるエンジンの不調です。
具体的にどうなるかというと、一定の速度で巡航している状態から少しだけアクセルを開けたとき、「ブツブツ」とエンジンが息継ぎをするような、ひどく不快な症状が出ることがあります。後ろから黒煙を吹くこともあるようですね。これは、排気ガス中の酸素濃度を測って燃料の噴射量を緻密に調整しているO2センサーが、長年の熱や排気ガスのススで疲労してくるために起こる現象です。人間の体で言えば、鼻が詰まってうまく深呼吸できなくなっているような状態ですね。
ここでやっかいなのは、この症状が明らかに出ているのに、メーターパネルのFIランプ(燃料噴射システムの警告灯)が点灯しないことが多いという点です。つまり、バイクのコンピューター自身は「自分は正常に動いている」と思い込んでいるのに、実際にはセンサーが正確な数値を送れていて調子が悪いという、非常にタチの悪い状態なんですよね。こうした微妙な劣化は、試乗させてもらえるなら一番分かりやすいのですが、中古車屋さんではなかなか試乗が難しいのも現実です。その場合は、アイドリングの安定感や、軽く空吹かしをしたときのエンジンのツキ(回転の上がり方と下がり方)を慎重に観察してみてください。少しでももたつく感じがあれば、要注意かもしれません。
診断機に現れない不調を見抜くコツ
先ほどのO2センサーの話とも繋がりますが、現代のインジェクション(電子制御燃料噴射)バイクの整備では、OBD(車載診断装置)と呼ばれるコンピューター診断機を繋ぐのが主流です。しかし、ここにちょっとした罠が潜んでいるんですよ。
実は最初、私も「診断機を繋げば、悪いところはパソコンの画面に全部表示されるんでしょ?」と安易に考えていました。でも、熟練のメカニックの方々と話をしていると、それは大きな間違いだと気づかされます。センサー類というのは、完全に配線が断線したり、内部でショートしたりして「完全に壊れた」状態にならない限り、診断機には「異常なし」と表示されてしまうシステムになっているんです。不良というレベルまではいかなくても、明らかにヘタっていて正確な数値を拾えていない「グレーゾーン」の状態では、コンピューターは異常を検知できません。
無駄な高額修理を避けるために
診断機で異常が出ない不調に対して、「じゃあサブコン(燃調コントローラー)を入れましょう」とか、「原因不明なので、とりあえずスロットルボディを丸ごと交換ですね(部品代だけで約3万円以上のコース)」と安易に提案してくるショップには、正直少し注意が必要かなと思います。
本当にW800というバイクを理解しているお店なら、まずは1万数千円のO2センサー交換を試してみたり、スロットルボディのバタフライバルブ周辺を丁寧に清掃し、可動部に注油したりと、的確で安価なアプローチから始めてくれるはずです。冷たい機械の数値を鵜呑みにせず、エンジンの声を聞けるプロの「目利き」と「経験」が、中古車選びとその後の維持では本当に重要になってきますよ。
スポークの錆から前オーナーの愛情を知る

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W800の魅力といえば、何と言ってもあのクラシカルで美しいメッキパーツの数々ですよね。中でも、太陽の光を反射してキラキラと輝くワイヤースポークホイールは、このバイクのアイデンティティと言っても過言ではありません。しかし、だからこそここを見れば、前オーナーがそのバイクをどう扱ってきたかが一発で分かってしまうんです。
W800に採用されている純正のスポークは、ステンレスではなく、鉄にメッキを施したものです。これが何を意味するかというと、雨に降られた後や、湿気の多い場所にカバーだけ掛けて保管していると、驚くほど簡単に錆びてしまうということです。こまめに洗車をして水分を拭き取り、うっすらと防錆スプレーなどの油分を乗せておかないと、あの美しい輝きは絶対に保てません。
つまり、スポークがピカピカに綺麗に保たれている車両は、「雨の日は乗らないようにしていた」「風通しの良いガレージや室内で保管されていた」「週末ごとにこまめに洗車や磨きを行っていた」という、前オーナーの深い愛情と手間の証なんです。逆に、スポークの根元や交差している部分が赤茶色に錆びている個体は、見た目のお手入れだけでなく、エンジンオイルの交換やチェーンの注油といった、見えない部分の基本的なメンテナンスもサボり気味だった可能性が高いと言えそうです。中古バイク選びは、ただ鉄の塊を選ぶのではなく、前の持ち主との無言の対話でもあるんですよね。
足回りの放置が招く高額な張り替え費用
「スポークの錆くらい、買ってから休みの日に自分で真鍮ブラシで磨けばいいや」と思うかもしれませんね。わかります、私も昔、サビサビの格安バイクを買ってきて、ピカールを片手に週末ごとに磨き続けた経験がありますから。でも、W800のスポークの錆が深く進行している場合は、ちょっと覚悟が必要ですよ。
表面に点々と浮いている程度の軽い錆なら、根気よく磨けば落とせます。しかし、メッキの層を突き破って奥の鉄の部分まで浸食してしまった錆は、いくら表面を綺麗に磨いても金属の強度が落ちてしまっていますし、すぐにまた錆が再発してしまいます。最悪の場合、高速道路を走行中など、強い負荷がかかった瞬間にスポークが折れて大事故に繋がる危険性すらあるんです。
| 作業内容 | 費用の目安(前後セット) |
|---|---|
| 純正スポーク&ニップル部品代 + ホイール脱着・張り替え工賃 | 約50,000円 〜 80,000円 |
いざ「このままじゃ危ないからホイールを蘇らせよう」とバイク屋さんに張り替えを依頼すると、純正の部品代と、職人さんの高度な技術が必要な「振れ取り」の手間賃で、平気で5万円から8万円ほどの大きな出費になってしまいます。これなら、最初から少し車両価格が高くても、足回りが綺麗な車両を選んだ方が、結果的にお財布にも精神的にも圧倒的に優しいというわけです。目先の安さに飛びつかないよう、ここは冷静に判断したいところですね。
状態を見極めて初期型か現行型かを選ぶ
さて、ここまでの話を踏まえると、「そんなに持病や錆のリスクがあるなら、いっそ不具合の心配が少ない現行型(EJ800B/Eなど)の中古を買えば間違いないのでは?」と思われるかもしれません。確かに、2019年以降に復活した現行型は、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が標準装備され、リアブレーキもドラムからディスクに変更されるなど、バイクとしての安全性と完成度は圧倒的に高まっています。フレームも完全リニューアルされ、制動力も段違いです。
しかし、初期型(EJ800A)には、現行型にはどうしても出せない強烈な魅力があるんです。それは、厳しい排ガス規制(ユーロ4やユーロ5)が入る前の、「図太く豊かなトルク感と、弾けるような生々しい排気サウンド」です。現行型は環境に優しく優等生になった分、あの初期型にあった「ドコドコ」と押し出されるような野性味が、少しだけマイルドになっていると感じるベテランライダーも多いんですよ。これはカタログのスペック表には絶対に載らない、乗り手の五感を直接刺激するフィーリングの違いです。
予算に余裕があり、ABSによる安心感と洗練された現代的な走りを求めるなら現行型がおすすめです。一方で、少し手がかかるかもしれないけれど、昔ながらの野趣あふれるツインの鼓動を愛でたい、そして初期型にしかないクラシカルなカラーリングに惹かれるなら、初期型を探すのも素晴らしい選択です。どちらが正解というわけではありません。自分のバイクライフのスタイルと、旧い機械のトラブルに向き合う覚悟の度合いを天秤にかけて、じっくりと、本当に後悔しない方を選んでみてはいかがでしょうか。
快適に乗るためW800の中古で注意したい維持のコツ

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無事に理想の車両を手に入れた後、長く快適に維持していくために気をつけるべきポイントについてお話ししますね。ここからが、本当の意味での豊かなバイクライフのスタートですよ。
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ユーザー車検で落ちるタンデムベルトの罠
バイクの維持費を少しでも抑えるために、自分で陸運局に持ち込む「ユーザー車検」に挑戦しようと考えている方も多いと思います。実は私も、家族の理解を得つつ限られたバイク予算をやりくりするために、ユーザー車検をフル活用している一人です。しかし、W800ならではの意外な落とし穴が陸運局の検査ラインで待ち構えているんです。
それが「シートのタンデムベルト(掴み手)」の存在です。W800は車検証上の乗車定員が「2人」のバイクですから、法律上、後ろに乗る人が安全に掴まるための装置が絶対に必要なのですね。(出典:国土交通省『道路運送車両の保安基準』) 純正で金属製のグラブバーが付いているモデルなら全く問題ないのですが、前オーナーのカスタムで外されていたり、社外品のフラットシートやカフェレーサー風のシングルシートに交換されていてベルトが付いていなかったりすると、検査官から「掴まるところがないから保安基準不適合」と一発で不合格にされてしまいます。
現場での言い訳は一切通用しません
「純正のカタログ写真でもベルトが付いてないように見えるデザインなのに!」とスマホの画面を見せて食い下がっても、現場のルールは絶対です。検査官は冷酷なまでに基準と照らし合わせます。
車検のたびに慌ててネットオークションで純正のグラブバーを高値で探すハメにならないためにも、購入時にタンデム用の装備がしっかり残っているか、または車検証の定員が「1人」に構造変更されているかを必ず確認しておくことが肝心です。些細な部品ですが、これがないだけで公道を走る資格を失ってしまうという、非常に重要なポイントですよ。
純正パーツの欠品が招く思わぬトラブル
中古車市場に出回っているW800の中には、前オーナーのセンスでかっこよくカスタムされている車両もたくさんあります。社外のフルエキゾーストマフラーが装着されていたり、フェンダーレスキットでリア周りがスッキリしていたりすると、「最初からカスタムされていてお得だな!」と、つい嬉しくなってしまいますよね。私も若い頃は、カスタムパーツがたくさん付いている車両ばかりを探していました。
しかし、ここで少し冷静になって考えを改める必要があります。カスタムされているということは、裏を返せば「元の純正パーツが失われているかもしれない」ということなんです。先ほどのタンデムベルトの話もそうですが、もっと深刻なのはマフラーです。装着されている社外マフラーが車検非対応のものだったり、経年劣化で音量が規制値をオーバーしてしまったりした場合、純正マフラーがないと絶対に車検に通せなくなってしまいます。
純正パーツは大切な「資産」です
いざ純正マフラーを新品で買い直そうとすると、左右セットで10万円を優に超える目玉が飛び出るような請求が来ます。また、将来的にあなたがそのバイクを手放す際にも、純正パーツがすべて揃っている個体の方が買取査定が圧倒的に高くなる傾向があります。
もし魅力的なカスタム車両を見つけて購入を決意するなら、契約書にサインする前に「外したノーマルパーツ(マフラー、シート、ウインカーなど)は付属しますか?」と必ず確認するようにしましょう。段ボール箱いっぱいのノーマルパーツは、場所を取って家族から少し嫌な顔をされるかもしれませんが、長く乗るうえで絶対に手放してはいけない大切な「保険」なのです。
ベベルギヤの異音と修理にかかる費用感

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W800のエンジンを右側から眺めたときに、ひと際目を引く垂直に伸びたクロームメッキのパイプ。あの筒の中で高速回転しているのが、このエンジンの心臓部とも言える「ベベルギヤ」です。エンジンの回転をシリンダーヘッドのカムシャフトに伝えるこの複雑な機構が、Wシリーズならではの美しい造形と、「ヒューン」という独特のメカニカルノイズを生み出しています。まさに工芸品のような美しさですよね。
しかし、この美しい機械仕掛けも永久不滅ではありません。走行距離を重ねていくと、ギヤの歯面が少しずつ摩耗し、バックラッシュ(ギヤ同士の噛み合いの隙間)が徐々に広がってきます。すると、心地よかった作動音に混じって、「カチャカチャ」「カタカタ」といった不快な打音が次第に大きくなってくるのです。特にエンジンオイルの交換をサボっていたり、質の悪いオイルを使っていたりした個体は、この摩耗が驚くほど早く進行します。
この異音が出始めたら、「シム」と呼ばれるミクロン単位の薄い金属片を使って、ギヤの隙間を適正値に再調整する精密な整備が必要になります。カバーを開け、特殊工具を使い、職人の感覚と測定器で何度もクリアランスを測り直す……という非常に手間の掛かる作業です。そのため、専門店にこの作業を依頼すると、部品代は安くても工賃で数万円単位の出費になることが珍しくありません。中古車を選ぶ際は、エンジンが温まった状態でアイドリングさせ、右側のパイプ付近から耳障りな異音がしていないか、しっかり耳を澄ませてみてくださいね。
十万キロを走破するための高額な維持費
「W800は基本設計が古いから丈夫で、10万キロでも平気で走るよ」なんて頼もしい噂を聞いたことがあるかもしれません。確かに、極太のフレームに過度なチューニングを施していないタフな空冷エンジンですから、致命的なブローを起こすことは稀です。適切なメンテナンスさえ続けていれば、10万キロという大台に到達することは十分に可能です。
ただ、ここで絶対に誤解してはいけないのが、「オイル交換だけしていれば、何もしなくても快適に10万キロ走れるわけではない」という厳しい現実です。長く、そして「気持ちよく」乗り続けるためには、各部のオーバーホール(大規模修繕)が避けて通れません。
| 10万キロに向けた主なメンテナンス項目 | 費用の目安(工賃込) |
|---|---|
| 前後サスペンションのフルオーバーホール | 約80,000円 〜 |
| ステム&前後ホイールベアリング全交換 | 約40,000円 〜 |
| インジェクション・スロットルボディの清掃・同調 | 約20,000円 〜 |
| 硬化したゴムホース類・ワイヤー類の全面刷新 | 約50,000円 〜 |
これらをすべてプロに任せて車体をリフレッシュさせると、トータルで20万円から、場合によっては50万円近い費用がかかることもあります。一般的なサラリーマンにとって、これはなかなか捻出できない金額です。この金額を「ただの修理代として高すぎる」と感じるか、「次の10万キロも安全に楽しむための、愛車へのプライスレスな投資」と捉えられるか。それが、W800を一生の相棒として愛し抜けるかどうかの分かれ道になるのではないでしょうか。
整備を任せられる専門店を見つける重要性

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ここまで色々と気になる情報ばかり書いてしまって、「なんだかW800って面倒くさそうだな、やめておこうかな」と不安にさせてしまったかもしれません。でも、どうか安心してください。こうした特有の弱点や持病をすべて熟知していて、的確なアドバイスと無駄のない整備をしてくれる「主治医」を見つければ、あなたのバイクライフは劇的に安心で豊かなものになります。
これまで解説してきた通り、W800は汎用的なコンピューター診断機だけでは不調の根本原因を見抜けないことが多く、職人の勘と経験、そして「音」を聞き分けるスキルがモノを言うバイクです。だからこそ、近所の普通のスクーター中心のバイク屋さんではなく、W650やW800を過去に何十台、何百台と診てきた実績のある「Wシリーズに強い専門店」や、ノウハウが蓄積されたカワサキ正規取扱店(カワサキプラザなど)を頼ることがとても重要になってきます。
そうしたお店のメカニックは、独自のノウハウを持っているだけでなく、壊れやすいパーツのストックや、高額なアッセンブリー交換(丸ごと交換)を避けるための効果的な代替パーツの情報なども豊富に持っています。「なにか異音がしたら、あのお店に持っていけば絶対になんとかしてくれる」と心から思えるお店を見つけることこそが、中古のW800を買う上で一番の成功の秘訣です。極端な話、素性の知れないオークションでピカピカの車両を安く買うより、少し外装がヤレていても、信頼できる専門店がしっかり整備した車両を適正価格で買う方が、結果的に大正解となるはずですよ。
総括:憧れのW800の中古で注意すべきポイント総括
いかがでしたでしょうか。美しい外観の裏に隠された、機械としてのリアルな素顔や、維持していく上での現実的なコスト感が少しお分かりいただけたかと思います。
- 初期型の購入時は燃料ポンプ・電気配線・スロットルボディの2件のリコール対策済みか確認する
- 燃料ポンプリコール(3083)は3351台、電気系リコール(3720)は5973台が対象範囲
- キーON時のポンプ作動音が弱々しい車両はトラブルの予兆の可能性がある
- 4万キロ超えの車両はO2センサーの劣化による不調に気をつける
- 加速時の息継ぎや黒煙はセンサーのヘタリを疑うべきサインである
- 診断機で異常なしでも不調ならスロットルボディ交換前にセンサーを疑う
- スポークの錆は前オーナーの保管状況や愛情を測るバロメーターになる
- 錆がひどいスポークホイールの張り替えには数万円の高額な費用がかかる
- 初期型の豊かなトルク感と現行型の洗練された性能を天秤にかけて選ぶ
- ユーザー車検ではシートのタンデムベルトがないと一発で不合格になる
- カスタム車両を買う際はノーマルパーツが付属するか必ずチェックする
- エンジン右側からのカチャカチャという異音はベベルギヤの摩耗を疑う
- ベベルギヤのクリアランス調整には専門的な技術と数万円の費用がかかる
- 10万キロを走破するにはサスペンションやベアリングの交換が必須になる
- 長く乗り続けるための大規模メンテナンスには数十万円の出費を覚悟する
- Wシリーズ特有の持病に精通した信頼できる専門店を主治医に見つける
最後に
今回は、W800の中古選びで注意すべき特有の持病や、購入後のリアルな維持の現実について解説しました。
初期型の燃料ポンプや電気系リコール、O2センサーの不調リスク、そして美しいスポークを維持する難しさなど、カタログには載らない実態を知っておくことが、後悔しない最高の一台に出会うためにとても重要だと分かりましたね。
W800の購入に向けて、さらに具体的な維持費や愛車のお手入れについて興味を持たれた方は、クラシックバイクのメンテナンスに関する記事も参考になるでしょう。