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美しいデザインとクラスを超えた刺激的な性能で、多くのライダーを魅了するアプリリアRS660。購入したい気持ちが高まる一方で、「アプリリアRS660故障」というキーワードで検索し、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。
憧れのイタリアンバイク、しかしどうしても頭をよぎる信頼性への不安…その気持ち、とてもよく分かります。RS660には確かにオーナーから報告されている特有の弱点が存在します。しかし、それらの多くは原因が特定されており、年式や正しい知識、そして賢い対策によって、故障のリスクは大幅に減らすことが可能です。
この記事では、RS660の購入を検討するあなたの不安を解消するため、以下の点を詳しく解説していきます。
この記事を読むと分かること
- 報告されている5つの具体的な弱点とその原因
- 故障リスクが低い「狙い目」の年式の見分け方
- 購入後に後悔しないための賢い付き合い方と対策
- 国産バイクと比較したリアルな維持費の実情
RS660が抱えるリスクと、それを上回るほどの魅力。その両方を深く理解することで、あなたが本当にこのバイクと最高のパートナーになれるのか、きっと答えが見つかるはずです。
アプリリアRS660の故障で報告される5つの弱点を徹底解説

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アプリリアRS660の購入を検討する上で、多くの方が気になるのが故障に関する情報ではないでしょうか。実際にオーナーから報告されている具体的な弱点について、原因とともに詳しく解説していきます。まずはネガティブな情報かもしれませんが、これらを正確に知ることが後悔しないバイク選びの第一歩です。
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弱点1:エンジンリコールと突然のストール

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まず、RS660の信頼性について語る上で避けて通れないのが、2021年の初期モデルで発生したエンジンに関する重大なリコールです。これは、コンロッドの製造工程に問題があり、エンジン内部のコンロッドが強度不足になっているというものでした。最悪の場合、走行中にコンロッドが破損し、エンジンブローに至る可能性がある非常に深刻な内容です。
しかし、この問題に対するアプリリアの対応は評価されるべきものでした。対象となった約700台の車両は、部分的な修理ではなく、エンジンアッセンブリー(全体)を新品に無償交換するという徹底した対策が取られました。そのため、もし初期型の中古車を検討する場合は、このリコール対応がきちんと実施されているかの確認が絶対条件となります。
また、リコールとは別に、走行中に突然エンジンが停止する「エンスト」の報告も散見されます。原因は様々で、納車時のバッテリーターミナルの締め付け不足といった初歩的なミスから、センサー類の不具合、あるいは燃料タンク内のガソリンが減った際に生じる燃料供給トラブルなど、多岐にわたります。

弱点2:持病?頻発するオイル漏れの原因と箇所

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RS660、ひいては660プラットフォーム全体で最も多く報告されているトラブルがオイル漏れです。これは「イタリアンバイクの持病」と揶揄されることもありますが、RS660の場合は一定の傾向が見られます。
漏れが発生しやすい箇所は主に以下の通りです。
- エンジンサイドカバー(ステーター/クラッチカバー)のガスケット
- ウォーターポンプのシール部分(冷却水もしくはオイルが漏れる)
- オイルパンの接合部やドレンボルト
- オイルフィルターを取り付けるアダプター部分
興味深いことに、これらのオイル漏れについて、一部のオーナーからは工場出荷時のボルトの締め付けトルクが不足している可能性が指摘されています。実際に、適正なトルクで各部のボルトを増し締めしただけで、多くのオイル漏れが解決したという報告もあります。これは裏を返せば、納車前のディーラーによる点検(PDI)がいかに重要かを示していると言えるでしょう。
弱点3:シフトレバー脱落と気難しいクイックシフター
RS660の魅力的な装備の一つであるクイックシフター(AQS)ですが、ここにもいくつかのトラブルが報告されています。最も深刻なのが、初期モデルで報告されたシフトレバーの機械的な不具合です。シフトレバーを固定する部品に問題があったケースが報告されており、現在では対策済みの部品に交換されているため、新しいモデルでは心配ないとされています。
一方、電子的な不具合も存在します。エンジン始動直後にAQSが作動しなくなる「ロックアウト」現象や、特に低回転域やスロットル開度が小さい場面で、シフトアップ・ダウンの動作がギクシャクするという報告は少なくありません。このギクシャク感については、ある程度は仕様とも言え、5,000回転以上でしっかり加速している場面では非常にスムーズに作動する、という声が多いようです。上手く付き合っていくには、少しコツが必要なのかもしれません。

弱点4:多くのオーナーを悩ませるリアブレーキの鳴き
性能に直接的な影響は少ないものの、多くのオーナーが精神的なストレスを感じるのが、低速時のリアブレーキの鳴きです。信号での停止間際などに「キーキー」「ゴゴゴ」といった音が鳴ることがあり、せっかくのスタイリッシュなバイクのイメージが台無しに感じてしまう人もいるでしょう。
この問題は非常に多くの車両で発生しており、ほぼ「仕様」に近いものと認識されています。しかし、いくつかの対策で改善、あるいは解消することが可能です。
最も一般的で効果的とされるのが、ブレーキパッドの「慣らし」を意図的に行うことです。安全な場所で、中速域からリアブレーキだけで強めに減速する、というのを数回繰り返すことで、パッドとディスクの当たり面が整い、鳴きが収まることがあります。その他、ブレーキクリーナーでの清掃や、パッドの角をヤスリで少し削る「面取り」も有効とされています。それでも解決しない場合は、より鳴きにくい社外品のブレーキパッドに交換するのが最終手段となります。
弱点5:価格に見合わない?塗装と外装の品質問題
RS660の息をのむような美しいデザインは最大の魅力ですが、その外装品質については、価格を考えると少し物足りないという厳しい意見もあります。特に多く指摘されるのが、フェアリングの塗装が薄いという点です。飛び石などによる塗装の欠け(チップ)や、擦り傷がつきやすいと感じるオーナーは少なくありません。
また、カウルを固定しているプラスチックの爪やネジ受けが華奢で、メンテナンスで脱着する際に破損させてしまったという報告もあります。マット塗装のモデルは特にデリケートで、グローブが擦れただけで跡が残ってしまうこともあるようです。
これらの品質は、RS660がクラスの常識を超えた高度な電子制御パッケージを搭載していることとのトレードオフかもしれません。つまり、価格を抑えつつ高い性能を実現するため、外装など目に見える部分のコストが調整されている可能性が考えられます。長く綺麗に乗りたいのであれば、購入後すぐにタンクパッドや保護フィルムを施工するなどの自衛策がおすすめです。

(補足)その他の軽微なトラブル事例
ここまで紹介した5つの弱点の他にも、いくつかの軽微なトラブルが報告されています。これらは全ての車両で発生するわけではありませんが、知識として知っておくと良いでしょう。
例えば、一部の車両ではカムチェーンテンショナーから異音が発生するケースが報告されています。これは放置するとエンジンにダメージを与える可能性もあるため、エンジンから「カチャカチャ」という異音が聞こえたら、すぐにディーラーに相談すべきです。
また、純正のリアショックの潤滑が不足していて、サスペンションが動くたびに「キュッキュッ」と音が鳴るという報告もあります。これは性能上の問題ではありませんが、気になり始めると不快なものです。これらの問題も、オイル漏れなどと同様に、信頼できるディーラーでのしっかりとした納車前点検で、ある程度は未然に防げる可能性があります。
賢い対策でアプリリアRS660の故障リスクを回避する

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ここまでRS660が抱える弱点について詳しく見てきましたが、もちろん対策がないわけではありません。むしろ、これからお話しするポイントを押さえることで、故障のリスクを大幅に減らし、安心してRS660の素晴らしい走りを楽しむことが可能です。賢いオーナーになるための具体的な方法を紹介します。
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【年式別】信頼性の違いは明確!狙い目は2023年以降

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RS660の故障リスクを考える上で、最も重要な要素がモデルイヤー(年式)です。前半で解説したトラブルの多くは、デビュー直後の2021年から2022年モデル、いわゆる「初期型」に集中している傾向があります。これは新しいプラットフォームのバイクではよく見られる「初期不良」であり、RS660も例外ではありませんでした。
しかし、オーナーコミュニティでは、2023年以降のモデルから信頼性が向上したという声が多く聞かれます。メーカーが公式に「ここを変更した」と発表することは稀ですが、初期の保証修理データなどから、生産ラインで静かな改良が積み重ねられているのは間違いありません。実際に、オイル漏れやシフトレバーの部品などは、現行モデルでは改善されているようです。
これから新車や高年式の中古車を狙うのであれば、初期トラブルのリスクが大幅に低減されているため、安心して選ぶことができるでしょう。RS660はデビューから数年を経て、成熟期に入ったと言えます。

初期型(2021-22年)中古車購入で失敗しない注意点
市場には価格がこなれてきた初期型(2021-22年モデル)のRS660も多く流通しており、魅力的に映るかもしれません。しかし、安易に飛びつくのは危険です。初期型を選ぶ場合は、以下のポイントを必ず確認しましょう。
最重要項目は、エンジンリコールの対応履歴です。対象車両であった場合、エンジンが新品に交換されているはずなので、その記録がメンテナンスノート等で確実に確認できる車両を選んでください。これがあやふやな個体は、どんなに安くても避けるべきです。
さらに、実車確認では以下の点を重点的にチェックします。
- エンジン周り:オイル漏れや滲みの痕跡がないか。特にカバー類やオイルパンの接合部を入念に。
- シフトレバー:根本にガタがないか、対策品に交換されているか。
- ブレーキ:リアブレーキの鳴きは個体差が大きいですが、可能であれば試乗して確認。
- 整備記録:定期的なオイル交換など、基本的なメンテナンスがしっかり行われてきたか。
価格の安さだけでなく、車両の状態と整備履歴を冷静に見極めることが、初期型で後悔しないための鍵となります。
故障リスクを左右するディーラー選びの重要性とは

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外車、特にアプリリアのような趣味性の高いバイクと付き合っていく上で、実は車両そのものと同じくらい重要なのが、信頼できる正規ディーラーとの関係です。なぜなら、ディーラーの質がバイクのコンディションを大きく左右するからです。
特に重要なのが、納車前に行われる点検整備「PDI(Pre-Delivery Inspection)」です。前半で述べたオイル漏れの原因の多くがボルトのトルク不足である可能性があるように、経験豊富で丁寧なメカニックがいるディーラーは、これらの弱点を納車前に発見し、適切に対処してくれます。質の高いPDIを受けて納車されたRS660は、初期トラブルの発生率が格段に低いとされています。
また、万が一トラブルが発生した際の保証修理の対応や、部品の取り寄せ、的確な故障診断など、購入後のバイクライフ全体の安心感が全く違ってきます。自宅からの距離だけでなく、インターネット上の評判を調べたり、実際に店舗に足を運んでスタッフの対応を見たりして、長く付き合えるディーラーを慎重に選びましょう。

オーナーなら必須!故障を防ぐ3つの予防メンテナンス
ディーラー任せにするだけでなく、オーナー自身が日頃から少し気を配るだけで、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。ここでは、RS660オーナーならぜひ実践したい3つの予防メンテナンスを紹介します。
1. 定期的なボルトチェック:特にオイル漏れが報告されているエンジンカバー周りのボルトは、トルクレンチを使って定期的に適正トルクで締まっているかを確認するのが理想です。これにより、緩みが原因のオイル漏れを予防できます。
2. 洗車時の各部チェック:洗車はただ綺麗にするだけでなく、バイクの状態を確認する絶好の機会です。シフトレバーにガタはないか、各部から液体が漏れた痕跡はないかなど、隅々まで自分の目で見て触って確認する習慣をつけましょう。
3. エンジンオイルレベルの確認:RS660はオイルをやや消費する傾向がある個体も報告されています。走行前には必ずオイルレベルを確認し、規定範囲内に保つように心がけてください。オイル管理はエンジンの健康を保つ基本中の基本です。
これらの基本的なチェックを習慣づけることが、結果的に大きな故障を防ぎ、愛車と長く付き合うための秘訣となります。
国産より高い?RS660のリアルな維持費と修理費用
購入を検討する上で、避けては通れないのが維持費の問題です。正直に言って、RS660のメンテナンス費用は、同クラスの国産バイクと比較して高額になる傾向があります。初回点検やバルブクリアランス調整を含む大規模なメンテナンスでは、相応の費用がかかることも珍しくありません。
部品代も国産車より高く、イタリアからの取り寄せになると納期がかかる場合もあります。こうした「お金」と「時間」のコストは、オーナーになる上である程度覚悟しておく必要があります。
そこでおすすめしたいのが、任意で加入できる「延長保証」です。メーカー保証が切れた後も、予期せぬ高額な修理費用から守ってくれるため、精神的な安心感が大きく違います。外車に乗る上での賢い保険として、車両購入時に合わせて検討することを強く推奨します。

結論:RS660の魅力は故障リスクを上回るのか
ここまで、アプリリアRS660の様々な故障事例とその対策について解説してきました。ネガティブな情報が多く、不安に感じた方もいるかもしれません。では、結論としてRS660は「買うべきではないバイク」なのでしょうか。
私は、そうは思いません。確かに、国産バイクのような「何も気にせず乗りっぱなしOK」という手軽さはないかもしれません。しかし、RS660には、それを補って余りある唯一無二の魅力があります。官能的なエンジンフィール、シャープなハンドリング、そして何よりも所有欲を満たしてくれる美しいイタリアンデザイン。これらがもたらすライディング体験は、何物にも代えがたいものです。
RS660は、いわば少し手のかかる、しかし非常に魅力的なパートナーのような存在です。弱点を正しく理解し、年式選びやディーラー選びを慎重に行い、オーナーとして少しだけ気にかけてあげる。そうした積極的な関与を厭わないライダーにとって、RS660は最高の相棒になってくれるはずです。この記事が、あなたのその判断の一助となれば幸いです。
総括:アプリリアRS660の故障、年式と対策でリスク回避
ここまでRS660が抱える弱点と、その対策について詳しく見てきました。

- 2021年の初期モデルにはエンジン関連の重大なリコールがあった
- リコール対策は修理ではなく、エンジン全体の無償交換であった
- 走行中のエンジンストールも報告され、原因は多岐にわたる
- オイル漏れはRS660で最も多く報告されるトラブルの一つである
- オイル漏れの一因として工場でのボルトトルク不足の可能性が指摘される
- 多くのオイル漏れは、適正トルクでの増し締めで解決する場合がある
- 初期モデルでは走行中にシフトレバー関連の不具合が報告された
- クイックシフターは特に低回転域で動作がギクシャクすることがある
- 低速走行時のリアブレーキの鳴きは、非常に多くの車両で発生する共通の問題
- ブレーキの鳴きは、清掃やパッドの慣らし、交換などで対策が可能である
- 外装の塗装は薄く、飛び石などの傷がつきやすいとの評価が多い
- 上記トラブルの多くは2021-2022年の初期型に集中している
- 2023年以降のモデルでは品質が向上しているという声が多い
- 中古車を選ぶ際は、エンジンリコールの対応履歴確認が絶対条件である
- 質の高い納車前点検を行う、信頼できるディーラー選びが極めて重要
- オーナーによる定期的な各部チェックが、大きな故障の予防につながる
- メンテナンス費用は同クラスの国産バイクより高額になる傾向がある
- 延長保証への加入は、安心して乗り続けるための賢明な投資と言える
- 弱点を理解し対策すれば、RS660は唯一無二の魅力的な相棒となる
最後に
今回は、アプリリアRS660の故障に関する弱点と、その賢い対策について詳しく解説しました。年式による信頼性の違いや、ディーラー選びの重要性など、具体的なポイントをご理解いただけたのではないでしょうか。
RS660は確かに、国産バイクと同じような感覚で付き合えるバイクではないかもしれません。しかし、その弱点を正しく理解し、愛情をもって接することで、何物にも代えがたい素晴らしい体験を与えてくれる一台です。
この記事を通じて、あなたがRS660との最高のバイクライフをスタートできることを願っています。