
夜のツーリングから帰る途中、後ろを走っていた友人から「お前、ライト片方切れてるぞ」と指摘される——YZF-R25のオーナーなら、一度は通る場面だと思います。ただ、バイク店の営業時間を調べる前に、まず落ち着いてください。
2018年式までのYZF-R25は、ロービームで片側1灯だけが点灯するのが設計どおりの動きです。球切れでもヒューズ切れでもありません。
そして「どうしても両目にしたい」という希望のほうも、方法さえ選べば実現できます。問題は、検索するとまず出てくる「配線を分岐すれば両目にできる」という発想が、構造上どうしても成立しないという点です。
ここを踏んでしまうと、対向車を眩惑する光を出したまま走ることになります。年式ごとの仕様と保安基準の整理から、やってはいけない方法とその理由、そして実際に選べる4つの手段の費用と落とし穴まで、順に押さえていきます。
この記事を読むと分かること
- 自分のYZF-R25の片目が仕様なのか球切れなのかの見分け方
- 年式・型式ごとのヘッドライト仕様と、公式に確認できていない部分
- 両目点灯化でやってはいけない方法と、その構造的な理由
- 合法に両目化する4つの手段の費用・手間・落とし穴
YZF-R25のヘッドライトが「片目」なのは故障ではない

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ロービームで片目、ハイビームで両目 — 純正の点灯パターン

2018年式までのYZF-R25は、ロービームの状態では片側1灯だけが点灯し、ハイビームに切り替えるともう一方も点いて2灯になります。片側1灯だけが点灯するのが正常な設計であり、球切れでもヒューズ切れでもありません。整備不良を疑ってバイク店に駆け込む前に、まずこの1点だけ確定させてください。
点灯しているのは、ライダーから見て左側の灯体です。対向車や前走車の側から見れば右側にあたります。
この左右がどちらの視点で語られているかは説明する人によってばらばらで、それ自体が混乱の原因になっています。質問サイトには「ロービームで左目が点灯する」と書かれた投稿がありますが、これはライダーから見た表現ですから、車体を前から見て右側という記述と食い違ってはいません。左右で悩んだときは、必ず「どちらから見た左右か」を先に確かめてから読み比べてください。
さらに押さえておきたいのが、YZF-R25にはヘッドライトのON/OFFスイッチが存在しないという点です。ヤマハ公式の取扱説明書には、この車両が自動昼間点灯仕様であること、そしてエンジンが始動するとヘッドライトが自動的に点灯することが明記されています。
つまり、消えている側を自分の操作で点けるという発想自体が、この車両には最初から用意されていません。片目に見えることへの不安は根強く、価格比較サイトのクチコミ掲示板には2017年12月の時点で「なぜ片目だけなのか」という質問が投稿されていますが、同じ疑問はいまも新しいオーナーの間で繰り返し生まれています。
球切れか仕様か、30秒で切り分ける判定手順

判定に必要なのは、年式と「ハイビームに切り替えたときの挙動」の2つだけです。工具も要りませんし、カウルを外す必要もありません。ガレージで車体にまたがったまま、次の順番で確かめてください。
- ① エンジンを始動する(キーをONにしただけでは点灯しない場合があります)
- ② ロービームの状態で、片側だけが点灯しているかを正面から見る
- ③ ハイビーム、またはパッシングスイッチでもう一方が点灯するかを見る
③でもう一方が点けば、バルブも配線も正常です。2018年式までの車両なら、そこで話は終わりにして問題ありません。
取扱説明書にも、スタータースイッチを押して始動しないときにも点灯することがあるが異常ではない、という趣旨の記載があります。一方、③で点かない場合は症状ごとに疑う場所が変わります。
| 症状 | 疑う箇所 |
|---|---|
| Hiにしてももう片方が点かない | Hi側バルブの球切れ(RG10J系はH7・正規のワット数を使う) |
| Lo側が全く点かずHiは点く | Lo側バルブ切れ、またはカプラの抜け |
| ハイ・ロー・左右すべて点かない | ヘッドライトヒューズまたはハーネス |
| 点いたり消えたりする | カプラーの接触不良・端子の腐食 |
| ヒューズを替えてもすぐ切れる | 短絡(ショート) |
表を見ながら現物へ手を伸ばす前に、安全側の確認を先に済ませてください。まずエンジンを止めてキーをOFFにします。
消灯した直後のバルブやライトケースの内側は高温になっていますので、素手で触れる前に十分に冷ましてください。ハロゲンバルブはガラス部分に皮脂が付くとその一点が過熱して寿命を縮めますから、手を触れる必要がある場面では手袋か清潔な布を挟むのが基本です。加えて、バッテリーやヒューズまわりを覗くときは金属工具を電極に当てないよう、置き場所にも気を配ってください。
ヒューズを自分で見る場合、系統別のヒューズボックスはタンデムシート前側のカバー内、メインヒューズはタンデムシート下にあります。いずれもヤマハ公式の取扱説明書に記載されている位置です。
ただし、交換したヒューズがすぐにまた切れるようなら、そこから先は電気が漏れている場所を探す作業になります。原因が特定できないまま容量の大きいヒューズを入れると、守るべき配線のほうが先に焼けます。取扱説明書でもヤマハ販売店で電気系統の点検を受けるよう案内されている領域です。
もう一点、年式によってこの切り分けがどこまで通用するかが変わります。ハロゲンのH7バルブを使う2018年式までなら、上の表のとおり「球なのか、配線やヒューズなのか」を自分で絞り込めます。
一方、ヘッドライトがLED化された2019年式以降はユニットごとの構成ですから、バルブを入れ替えて切り分けるという手法自体が使えません。さらに、この世代がロービームで何灯点灯するのかはヤマハ公式の資料に記載が見当たらず、ネット上でも情報が割れています。
2019年式以降で片目に見えたからといって、異常と決めつけないでください。購入店やヤマハ販売店にその年式の仕様を確認するのが、遠回りに見えていちばん確実です。
ヒューズを交換してもすぐに切れる場合は、自分で原因を追わずヤマハ販売店やバイク店へ相談してください。容量の大きいヒューズへの交換は絶対に行わないでください。
年式・型式で違うヘッドライト仕様 — 確定していることと、していないこと
YZF-R25のヘッドライトは、発売からこれまでに一度大きく変わっています。世代ごとに型式・光源・バルブ形式・ヒューズ容量を並べると、自分の車両がどの位置にいるのかが一目で分かります。ただし、この表には一箇所だけ埋められないセルがあります。
| 世代 | 年式 | 認定型式 | 光源 | ヘッドライトヒューズ | ロービーム時の点灯灯数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 初代 RG10J | 2014年12月発売(2015年モデル)〜2017年式 | RG10J | ハロゲン H7・12V 55.0W×2(公式取説で確認) | 15.0A(公式取説で確認) | 片目(複数の実ユーザー証言が一致) |
| RG43J 前期 | 2018年式 | 2BK-RG43J | ハロゲン H7(二次情報) | ―(要現車確認) | 片目(二次情報) |
| RG43J 後期 | 2019年3月28日発売〜2021年式 | 2BK-RG43J | LED(公式取説で確認) | 7.5A(公式取説で確認) | ※公式明記なし・情報が割れています(要現車確認) |
| RG74J | 2022年5月25日発売〜 | 8BK-RG74J | LED(公式リリースで確認・前後フラッシャーもLED化) | ―(要現車確認) | ※公式明記なし・情報が割れています(要現車確認) |
光源とヒューズ容量については、2015年式と2019年式のヤマハ公式取扱説明書、そして2022年モデルのヤマハ発動機によるYZF-R25 2022年モデルの発表内容で裏が取れています。埋まらないのは右端の列です。
2019年式以降のロービームが何灯点くのかは、ヤマハ公式の取扱説明書にもニュースリリースにも車両仕様にも記載が見当たりません。百科事典サイトは2019年以降のモデルでロービーム・ハイビームともに両眼点灯へ変更されたと記述し、一方でまとめ系サイトは2022年以降が純正両目だと記述しており、双方が食い違ったままです。
判明していないものを判明していないと書くのが、この場面での正しい態度だと考えています。確実なのは、エンジンを始動してロービームの状態で正面に回り、自分の目で数えることです。
もう一つ、型式だけで判断すると必ず間違える落とし穴があります。2018年式と2019年式は同じ2BK-RG43Jですが、2019年3月のマイナーチェンジでヘッドライトのLED化、倒立フロントフォーク、フル液晶メーターと中身が入れ替わっており、灯火まわりは別物です。社外LEDバルブの適合表記が「RG10J/RG43J 15〜18年 H7」と年式で区切られているのも、H7バルブが使えるのは2018年式までという傍証になります。
なぜ片目なのか — ヒューズ容量から電力を逆算する
ヤマハは、ロービームを片目にした理由を公式には説明していません。今回調べた範囲でも、その根拠を示した資料は見つかりませんでした。ただ、取扱説明書に載っている数字を並べるだけでも、電力設計上の合理性は説明がつきます。
初代のヘッドライトはハロゲン55.0Wが2灯で、ロービーム時に点いているのはそのうち1灯、つまり55Wです。仮にロービームで2灯とも点ければ110W、12V換算で約9.2Aになります。対してヘッドライト回路のヒューズは15.0A、電力に直すとおよそ180W相当ですから、計算上は収まります。
ただし残るマージンは約6Aしかありません。ここにグリップヒーターやUSB電源、ドライブレコーダーを足していけば、余裕はあっという間に消えます。回路の余裕は無限ではない、というのが数字の示すところです。
もう一つ興味深いのが、LED化された2019年式の数字です。ヘッドライトヒューズは7.5Aへと半分に落とされ、同時にシグナル系のヒューズが7.5Aから15.0Aへ入れ替わっています。
メインヒューズは両年式とも30.0Aのままです。ヘッドライト回路だけが半減しているという事実は、光源のLED化でヘッドライト系の消費電流が大幅に下がったことを、公式資料の側から裏づけています。逆に言えば、この世代のハーネスに後付けで灯火の負荷を足す改造は、設計上のマージンを食い潰しやすいということでもあります。
なお、クチコミ掲示板では「クルマと違って発電量に制限があるから片目なのだ」という説明がしばしば見られますが、これは一般ユーザーの推測であってヤマハの見解ではありません。発電機の定格出力はメーカーが公表しておらず、確認できていない以上、発電量を理由として断定することはできません。
整備上の注意
ここで紹介した数値は2026年7月時点で確認できた参考値です。市況・条件により変動します。整備は自己責任で行い、電気系統に自信がなければプロのショップへ依頼してください。
保安基準の3階層 — 個数・配光・そして「R25に車検はない」
合法か違法かという問いは、①灯火の個数 ②配光や光軸や色 ③そもそもの検査制度、という3つの層に分けなければ答えが出ません。この3つを混ぜて語ってしまうことが、ネット上の議論が噛み合わない最大の原因です。順に整理します。
まず個数です。道路運送車両の保安基準第32条および国土交通省が定める前照灯の細目告示第198条(適用整理は第120条)により、すれ違い用前照灯は原則2個、ただし二輪自動車および側車付二輪自動車は「1個又は2個」と定められています。
走行用前照灯も二輪は同じく1個または2個です。したがって、純正の片目ロービームも、両目点灯化した2灯のロービームも、個数という観点ではどちらも適合します。両目点灯化そのものが違法改造にあたるわけではありません。
次に、実際の可否を決めるのは配光・光軸・色・左右対称性です。二輪の走行用前照灯の光度は1灯につき15,000cd以上、2灯を同時に点灯させる場合は1灯あたり12,000cd以上とされています(出典:bike-sup.com、motopalace-suzuka.jp)。
光軸の許容範囲は前方10mで左右27cm以内・上方10cm以内、下方は地上からライトまでの高さの5分の1以内とされ、発光色は白色(平成17年12月31日以前に製造された車両は淡黄色も可)とされています。いずれも解説サイトによる整理であり、条文そのものではない点は付記しておきます。
そして3つ目です。YZF-R25は総排気量249cm³の軽二輪にあたり、道路運送車両法上の検査対象外自動車です。
つまり継続検査、いわゆる車検そのものが存在しません。ただし使用者には保安基準に適合した状態を維持する義務があり、適合していない状態で公道を走れば整備不良と判断され得ます。
普通二輪の例では違反点数2点・反則金7,000円とされています(出典:bike-news.jp)。令和6年8月から始まったロービーム計測による審査も二輪自動車は対象外で、兄弟車のYZF-R3(320cc)には車検があります。あわせて細目告示第120条第7項第12号により、二輪の前照灯は原動機が作動している間は常にいずれかが点灯している構造であることが求められており、取扱説明書の自動昼間点灯仕様という記述とも整合します。
「Hi側を常時点灯させる」がなぜ成立しないのか — リフレクターと配光の話

バルブを裏返す、リレーを追加して配線を分岐しロービーム時にハイ側も光らせる——検索するとまず出てくるこの発想を、当サイトははっきり否定します。理由は電気ではなく、光を反射させる皿の形にあります。
YZF-R25のヘッドライトはLo側・Hi側ともH7バルブの2灯式で、Hi側の灯体はハイビーム用の配光として設計されています。ロービームに必要なのは、上方向へ光を出さないための切れ目、いわゆるカットオフです。
ハイビーム用のリフレクターはそもそもこの切れ目を作る形状になっていません。したがって、Hi側をそのまま常時点灯させれば、カットラインのない光がそのまま対向車の目線に飛び込みます。
質問サイトのベストアンサーでも、ハイ側のリフレクターはどう足掻いても上側に対する光を減らせない、という指摘があります。実ユーザーの側でも、リフレクターがそういう形をしている以上は無理だという結論に至った報告が見られます。さらに、両目を常時点灯させてしまうとハイとローの切り替えができなくなる、という指摘もあります。
電気側のリスクも小さくありません。純正ハーネスに割り込みを入れれば、接続部は必ず抵抗と発熱の源になります。
ヒューズ容量を超えれば回路は保護のために切れますが、割り込み配線そのものが被覆を溶かすところまで進めば車両火災につながります。樹脂製のヘッドライトケース内に想定外の熱源を長時間置くことによる熱変形のリスクも、実際に指摘されている論点です。
こうした方法が語られていることは事実ですが、構造上こうなる以上、当サイトでは推奨しません。手順もここでは扱いません。配線に手を入れる作業全般の考え方については、灯火類の配線を自分で触るときに外せない注意点もあわせて確認してみてください。
バルブの裏返しや配線の分岐によるHi側常時点灯は、対向車を眩惑する配光になるため当サイトでは推奨しません。
両目にすると本当に明るくなるのか — 見た目の動機と光量の動機を分ける
「顔が締まらないから両目にしたい」と「夜が暗いから両目にしたい」は、口から出る言葉は同じでも、最適な答えがまったく違います。ここを混ぜたまま部品を買うと、お金をかけたのに不満だけが残ります。
外観が動機なら、灯数を増やさなくても手はあります。ポジションランプの見え方を変える、ユニットごと交換して光り方の意匠を変えるといった方向です。顔つきという意味では、灯数よりも点灯部分の形と位置のほうが効きます。
一方で光量が動機なら、話は灯数ではなく光源そのものの性能と配光に移ります。実際、純正のハロゲンからLEDに交換したものの想像以上に暗かった、という報告があります。
側面発光タイプのLEDではリフレクターとの相性からか一定の部分しか照らさず、結局HIDへ替えたという例も見られます。両目にしたから明るくなる、とは限りません。
切り分けるときの基準はシンプルです。対向車や歩行者から気づかれやすくなるかどうか、つまり被視認性には灯数がはっきり効きます。
前から見たときの光っている面積が増えるからです。これに対して、路面をどこまで照らせるかという照射性能は、光源の明るさと配光がほぼすべてを決めます。カットオフの効いた配光で必要な範囲へ光を集められる製品なら、1灯のままでも夜道の見え方は変わります。
逆に、光量だけ増やして配光が崩れている状態は、自分は見えづらいままで対向車だけを眩しくするという最悪の組み合わせになります。自分の不満が被視認性なのか照射性能なのかを先に決めてから、次の章の比較表を見てください。ヘッドライトまわりだけで印象をどう変えられるかは、ヘッドライト1つでバイクの顔つきを変えるカスタムの考え方でも整理しています。
YZF-R25を両目点灯化する4つの手段と費用のリアル

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4つの手段を横並び比較 — 費用・作業時間・難易度・落とし穴
ここから先、現実的に選べる道は4つです。細かい解説に入る前に全体像を一枚で見てもらい、自分の予算と技術でどれが射程に入るのかを先に決めてください。順番を逆にすると、読み進めるうちに一番高い方法が正解に見えてきます。
| 手段 | 部品費の目安 | 作業の重さ | ロー時2灯化 | 主な落とし穴 |
|---|---|---|---|---|
| ①専用LEDバルブ+コントローラー | 約38,060円 | 中(カウル脱着) | 可(メーカー説明) | 費用が最も高い/別途ラバーキャップ等が必要 |
| ②プロジェクター/イカリング一体ASSY交換 | 実例で数万円規模 | 重(作業6時間の実例) | 可(製品による) | カウル戻しが最難関/電装トラブルの温床になり得る |
| ③汎用H7 LEDバルブへ交換 | 2,990円〜14,300円 | 軽〜中 | 不可(明るさのみ向上) | 防水カバーが合わない/側面発光は配光が出ない |
| ④2019年式以降へ乗り換え | 車両価格 | ―(購入) | 要現車確認 | ロー時の灯数は公式に明記がない |
作業をショップへ任せる場合の相場も並べておきます。ナップスの店頭表示ではヘッドライトバルブ交換(一般車1箇所)が1,500円〜(税込)、LEDヘッドライトバルブ取付(一般車2灯式)が5,500円〜(税込)です。
2りんかんではヘッドライトバルブ交換1,800円(持込3,600円)、LEDヘッドライト(ネイキッド)5,500円(持込11,000円)、ヘッドライトキット8,300円(持込16,600円)となっています。いずれも2026年7月時点の表示価格です。
ここで見落としてはいけないのが、YZF-R25はフルカウル車だという一点です。上に挙げた金額はネイキッドを想定したもので、両社とも「カウル脱着は別途」「車種により異なる」と注記しています。
R25の場合はカウルを外して戻す工数が上乗せされる前提で見積もりを取ってください。手段①を選んでショップに任せた場合、部品38,060円前後+工賃5,000〜10,000円前後で総額おおむね4〜5万円というのが2026年7月時点での現実的な着地点になります。この数字は次の章以降を読むときの物差しになりますので、頭の片隅に置いておいてください。
価格・相場情報の取扱について
上記の部品価格・工賃はいずれも2026年7月時点の参考値です。市況や店舗、車両の状態により変動しますので、実際の金額は必ず見積もりで確認してください。整備は自己責任で行い、自信がなければプロのショップへ依頼してください。
手段①:Hi/Lo切替対応LEDバルブ+コントローラーで2灯にする

現時点で最も素性がはっきりしていて、電装への負担も小さいのがこの方法です。考え方はシンプルで、ハイビーム側にHi/Lo切替タイプのLEDバルブを入れ、コントローラー経由でロービーム時にもLo配光で点灯させます。光らせる場所を増やすのではなく、光り方を作れる製品に置き換えるという発想です。
構成は、Hi側にLB7W-H(品番65030・H7 Hi/Lo切替タイプ・20W/20W・6000K)、Lo側にLB7-S(品番65029・H7シングル・20W・6000K)という組み合わせになります。メーカーは、H7バルブ2灯式のヘッドライト車両のハイビーム側にLB7W-Hを装着するとロービームが2灯点灯になり、明るさはハロゲンバルブ1灯と比較してルーメン値でおよそ4倍になるとしています。
この数値はメーカーの公表値であり、実測値ではありません。価格はプロテック公式サイトで2026年7月26日に確認した時点でLB7W-Hが20,680円、LB7-Sが17,380円、合わせておよそ38,060円です。これは部品のみの金額で、別途ラバーキャップ(品番15194)を2個とHMコネクターセットが必要になるとの記載がメーカーのスタッフブログにあります。
注目してほしいのは電装面です。20W×2=40Wという消費電力は、純正ロービーム1灯の55Wを下回ります。
つまり、点灯する灯数を2つに増やしながら、ヘッドライト回路が食う電流は純正より少なくできるということです。前の章で見たヒューズ容量の話と、ここで数字がきれいにつながります。回路のマージンを削らずに両目化できるという意味で、電装リスクを最小にしたい人にとっては合理的な選択肢だと言えます。
手段②:プロジェクター/イカリング一体ヘッドライトへ交換する

光り方そのものを設計し直した製品へ、ユニットごと置き換える方法です。見た目の変化は4つの中でいちばん大きく、製品によってはロービームで両目になります。その代わり、作業量も覚悟しておく必要があります。
イカリング内蔵のLEDプロジェクターHIDヘッドライトへ交換した個人の記録では、純正はロー時に片目点灯だがこのユニットは両目点灯になる、と報告されています。作業はソロで計約6時間、そのうちカウルの脱着だけで往復2時間半を要し、最も苦労したのはカウルを元通りに戻す工程だったとのことです。
夜間の視認性は大きく向上したという評価も添えられています。フルカウル車のヘッドライト交換が「部品を替える作業」ではなく「車体を分解して組み直す作業」に近いことが、この時間配分からよく分かります。
同時に、リスクも正直に書いておきます。社外のLEDイカリングとHIDプロジェクターが装着された車両で、ヘッドライトが左右・ハイ・ローとも一切点灯しなくなり、原因がハーネスの配線不良だったという修理実績が公開されています。修理費用は13,200円(税込)、作業時間は約1時間でした。
ここで効いてくるのは金額よりも構図のほうです。純正の状態なら症状から原因を絞り込めますが、社外電装が入っていると「どこまでが純正でどこからが後付けか」を確かめる工程が先に挟まります。
社外電装を入れた車両ほど、後の原因究明に時間と費用がかかります。同じ悩みは兄弟車でも共通で、兄弟車MT-25でヘッドライト周りを丸ごと替えたときの作業と注意点も判断材料になります。
手段③:汎用H7 LEDバルブで「明るさだけ」底上げする(両目にはならない)
4つの中でいちばん安く済む方法ですが、最初に釘を刺しておきます。これは両目点灯化ではありません。
ロービームの1灯を明るくするだけです。ここを混同したまま買うと、届いた瞬間に「思っていたのと違う」となります。
実際の購入例を並べると、汎用H7 LEDバルブが2,990円(2021年7月投稿)、車種専用のLEDキットが14,300円(2021年9月投稿)、中古で入手したLEDヘッドライトが4,000円(2024年10月投稿)といったところです。いずれも各投稿時点の価格であり、現在の実勢価格とは異なります。このうち専用キットを選んだ人が利点として挙げていたのが、R25/R3用の専用防水カバーが付属していた点でした。
購入前に誰も教えてくれない実務論点が、この防水カバー、いわゆるラバーキャップです。LEDバルブは後ろ側にヒートシンクやファンが張り出すため、純正のゴムキャップが閉まりきらないことがあります。
実際、自作した例、汎用のゴム品で代用した例、専用品が付いてくることを決め手にした例がそれぞれ存在します。ここが閉まらなければ水と埃が入り、遅かれ早かれ結露や接触不良につながります。
あわせて期待値の調整も必要です。純正ハロゲンからLEDへ替えて想像以上に暗かったという報告、側面発光タイプはリフレクターとの相性からか一定の部分しか照らさないという報告があり、光源を替えれば必ず明るくなるわけではありません。なおバルブ形式のH7が使えるのは2018年式までで、2019年以降はLEDのアッセンブリーですからバルブ交換という概念自体が存在しません。
価格・相場情報の取扱について
ここで挙げた価格はいずれも各投稿時点および2026年7月時点の参考値です。市況・在庫により変動します。整備は自己責任で行い、自信がなければプロのショップへ依頼してください。
手段④:2019年式以降へ乗り換えるという選択

部品代と工賃で4〜5万円を使うくらいなら、最初からLED世代へ乗り換えたほうが早い場合があります。ヘッドライトだけでなく、倒立フロントフォークやフル液晶メーターまで一度に手に入るからです。ただし、その世代がロービームで何灯点くのかは公式に確認できていませんので、現車確認は省けません。
買取相場を見ると、世代の差がそのまま金額に出ています。2026年7月24日掲載のデータでは、2015年式が14.5〜22.4万円、2016年式が16.5〜22.2万円、2017年式が15.8〜20.4万円、2018年式が19.3〜24.4万円、2019年式が21.5〜29.4万円、2022年式が28.9〜39.5万円となっています。
片目仕様の2015〜2018年式とLED化後の2019年式以降で、はっきりと段差があるのが分かります。新車価格は2026年7月時点でYZF-R25 ABSが690,800円(税込)、70th Anniversary Edition ABSが712,800円(税込)です。今の車両の下取り額とこの段差を並べて、4〜5万円のカスタム費用とどちらが納得できるかを比べてみてください。
中古で探すときの注意も2点あります。1つは、社外のLEDやHID、イカリングが組まれた個体は電装トラブルの温床になり得ることです。
前の章で挙げた修理実績のように、後から原因を追う手間と費用がかかります。もう1つは、兄弟車のYZF-R3(320cc)まで検討範囲を広げる場合、R3には車検があるため維持費の前提そのものが変わる点です。この2台の性格の違いは兄弟車YZF-R3の実走性能と満足度を同クラスと比べた内容で詳しく扱っています。
価格・相場情報の取扱について
買取相場・新車価格はいずれも2026年7月時点の参考値です。市況・年式・車両状態により変動しますので、実際の金額は査定・見積もりで確認してください。
なぜYZF-R25はロービームで片目しか点灯しないのですか?
二輪のすれ違い用前照灯は1個でも保安基準に適合するため、片目は正常な仕様です。ヤマハによる公式の説明は見当たりませんが、ハロゲン55.0Wが2灯という消費電力と、ヘッドライト回路のヒューズが15.0Aという設計から、電力面の合理性は説明がつきます。故障ではありません。
バルブを裏返してハイビームを常時ONにすれば両目になりますか?
点灯させること自体は可能ですが、当サイトでは推奨しません。Hi側のリフレクターはロービームに必要なカットオフを作れない形状のため、上方向へ抜けた光が対向車の目線に入ります。問題は灯火の個数ではなく配光にあり、電気的に解決できる話ではないからです。
両目点灯化するとYZF-R25の車検は通らなくなりますか?
そもそもYZF-R25は総排気量249cm³の軽二輪で、継続検査そのものがありません。ただし使用者には保安基準に適合した状態を維持する義務があり、配光・光軸・発光色が基準から外れれば整備不良と判断され得ます。検査がないことと、基準を守らなくてよいことは別です。
費用はいくらかかりますか?DIYとショップ依頼でどれくらい違いますか?
専用LEDバルブの構成なら部品が約38,060円、ショップ工賃が5,000〜10,000円前後で、総額おおむね4〜5万円が2026年7月時点の目安です。汎用H7 LEDなら2,990円からですが両目にはなりません。フルカウル車のため、カウル脱着分が加算される点も見ておいてください。
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まとめ:YZF-R25の両目点灯化で押さえるべきポイント
片目は故障ではなく2018年式までの正常な仕様であり、両目にしたいのであれば、純正のリフレクターのまま電気だけをいじる方向ではなく、光り方そのものを作れる製品へ置き換える方向を選ぶ、というのがこの記事を通しての結論です。灯火の個数は保安基準上どちらでも適合しますから、判断の分かれ目は最初から最後まで配光にあり、そこを外さない限り選択肢は4つとも現実的な候補になります。
- 2018年式までのYZF-R25はロービームで片側1灯だけ点灯するのが正常な仕様
- 点灯するのはライダーから見て左側で対向車から見ると右側にあたる灯体
- ハイビームやパッシングでもう一方が点けばバルブも配線も正常と判断できる
- 2019年3月のマイナーチェンジでヘッドライトがLED化されたことは公式で確認済み
- 2019年式以降のロービームが何灯点くかは公式に明記がなく現車での確認が必要
- 2018年式と2019年式は同じRG43Jでも中身が別物なので型式だけで判断しない
- バルブ形式のH7が使えるのは2018年式までで2019年以降はLEDのユニット式
- 初代はハロゲン55.0W×2灯でヘッドライトヒューズは15.0Aという公式仕様
- LED世代はヘッドライトヒューズが7.5Aへ半減し消費電流の低下を裏づけている
- 発電量が足りないから片目という説はヤマハの公式見解ではなく推測にすぎない
- 二輪のすれ違い用前照灯は1個でも2個でもよく片目も両目も個数では適合する
- 実際の可否を決めるのは配光と光軸と色と左右対称性であって灯火の個数ではない
- YZF-R25は249ccの軽二輪で車検はないが保安基準の適合維持義務は残っている
- バルブを裏返す配線を分岐するといったHi側常時点灯は配光を作れず推奨しない
- 専用LEDバルブ構成なら部品と工賃で総額おおむね4〜5万円が2026年7月の目安
最後に
片目のR25は、壊れているのではなく、そういう設計で世に出てきた一台です。だからこそ両目化は「直す」ではなく「作り替える」作業になります。
配光という一点さえ譲らなければ、予算1万円以下から乗り換えまで、選び方はいくらでもあります。急がず、まずは現車のロービームを正面から見るところから始めてください。
ヘッドライトまわりの判断で迷ったときは、同じように灯火や外装へ手を入れた車種の記録が参考になります。他車種でどこまで印象が変わるのか、作業でどこが詰まるのかを知っておくと、自分のR25でやるべきことの優先順位が見えてきます。次の4本もあわせて確認してみてください。